妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

 

「いつもありがとう、潤」

堅物で頑固な自分をやんわりと智がフォローしてくれていることに気がついた潤は大きく深呼吸をしてから、

「雅紀、お前も乗れ」

「はーい!」

A葉を促すと、彼は素直に助手席へと乗り込んでからパタンと扉をしめた。

それを確認してから、

「・・・ボスには敵わない・・・か」

潤は小さく呟いて運転席に座って静かにドアを閉め、エンジンをかける。

静かすぎるくらいのエンジン音、微かに振動するボディの揺れが伝わる感じが心地いい。

潤は運転に集中し、他の3人はなんとなく車窓から流れる風景を眺めていて車内は心地よい静けさが支配している。

ふと潤が気がついた時には雅紀は寝落ちしていて、智とN宮は極々小さな声で会話を交わしているようだ。

潤が後部座席の2人の姿を意図的に己の意識から排除したのは、何となく智とN宮の秘事を覗き見しているような居心地の悪さを感じたからだ。

やがて車は屋敷へと到着し、出迎えた使用人たちのヘルプでN宮とA葉の荷物は2階へ。

 

智と潤の部屋に隣接する場所にそれぞれ運び込まれた。

この日から、邸内での4人の奇妙な同居生活が始まったのだった。

****

智は基本的にはこれまでと同じ生活を、N宮とA葉も平日は屋敷から大学に通うことになる。

「潤が送ってやればいいのに」

 

不満げな智。

 

けれど、

「ボス、急に生活が変化すると周囲から怪しまれて余計な詮索をされかねません」

2人に関してはO野家との関わりが表に出ないようとの配慮から、潤の提案により屋敷の最寄駅から電車に乗って通学することに決まった。

休日や必要時、N宮とA葉はS井のラボにも顔を出す。

そして潤は、外部が煩くなる前に根回しを開始した。

まずは智の父である会長の元へと出向いて、N宮とA葉の存在を明かした。

 

もちろん、馴れ初めの詳細は内密にしたままで。

 

さすがの潤も、

 

【媚薬の開発の被験者でヤバイ状態になった2人を助けたはずが結果的に関係を持つことになった】

 

なんて直属の上司でもある智の父に言えるはずもなく。

 

ただ、智が最近知り合った2名の大学生と親しくしていて、彼らが家探しをしていることを知って屋敷に住まわせることにしたと伝えた。