妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

「・・・ごめん」

バツが悪そうにそう言ったS井に、潤は少しだけ困ったような表情を浮かべてから、

「俺もムキになって悪かったよ・・・」

言ってから握手を求めた。

S井も素直にそれに応じて2人の間にあったわだかまりは溶けつつあるものの、気まずい雰囲気はそのままだ。

 

「では、僕は外来業務があるのでこれで失礼いたします」

斗真がペコリと頭を下げてから退室すると、ベッドに腰掛けた智の着替えを潤が手伝つつ改めてこれからのことをS井に説明する。

「っていうか潤、その丁寧すぎる言葉はどうにかならない?ほら、ここには親しい人間しかいない・・・な、S井くん?」

智が苦笑を向けると、S井が少し照れたような表情をした。

自分が智や潤と『親しい人間』として区分されたことが、内心では嬉しかったのだ。

 

「そうですね、でも俺に対しては失礼なくらいにフレンドリーですけれど」

 

横目で潤の姿をチラ見してからS井が言うと、

 

「そうなんだよ・・・俺の方が付き合いが長いのに・・・他人行儀なままだなんて」

 

智が揶揄うように返した。

「・・・ボス!!」

真っ赤になって自分をチラ見して、一瞬で視線を逸らした潤の姿に、

「ちょっ・・・可愛い」

心臓を鷲掴みにされたらしいS井の心の声がダダ漏れた。

「お前っ・・・俺に可愛いとか言うな!」

速攻でその言葉に反応した潤がヤケクソ的に叫ぶと、

「だって仕方ねーじゃん・・・まじで『可愛い』って思ったんだからさ?」

S井が容赦無く追撃して、潤の中にあっったプライドが良い意味でズタズタになる。

 

「黙れ・・・それ以上、可愛いとか言ったら殺す」

睨みを効かせた潤だったがS井の目にはその姿はやはり可愛く映った。

「うん、そうなんだよ・・・潤は可愛いんだよな」

そんな潤の背後からとどめを刺すような言葉をシレッとはいたのは、まさかの主である智で、

「・・・ボス?!」

半泣きで振り向いた潤に、

「S井くんとは気が合いそうだ・・・感性が同じっぽい」

智が口角を上げた。