山の日の妄想小説です←
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「・・・イチくん?」
「いや、我慢させてばっかだったなぁって思って。ジロは聞き分けも良かったし」
イチロウの声のトーンから彼が言いたいことを察したジロは、
「何言ってんの?イチくんだって俺と1歳しか変わんないじゃん」
コツンとイチロウの頬を頭で突く。
「そうだけど、俺、長男だし」
「それを言うなら、俺は次男だし?」
悪戯っ子な笑顔を浮かべて言われて、イチロウは視線をジロに戻した。
「そりゃ大変なこともあったけど、圧倒的に楽しい思い出の方が多くない?」
ポジティブなジロの言葉に、
「・・・そうだったな」
イチロウも素直に頷いた。
「そもそも、天使たちの成長を見守れるのは兄としての特権だし」
「もうゴロも高校生なのに、まだ天使とか」
「いやいや、あいつらはいくつになっても天使よ?!」
「はぁ・・・ジロがこんなブラコンになっちまって・・・俺は責任を感じてるよ?母ちゃん、ごめん」
拝むような仕草をしたイチロウに、
「なんでだよ!!母さんも喜んでるだろ?兄弟仲が良くて嬉しいって」
ジロが軽く突っ込みを入れる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
そして暫し無言になった2人は、
「プッ・・・!」
「あははは!!」
2人同時に吹き出した。
ひとしきり笑い合った後で、
「ジロが俺の弟でよかった」
視線を下に落としてポツリとイチロウが呟く。
その言葉を受けて、
「俺だってイチくんがアニキで良かったって、心からそう思ってるよ?」
ジロも正面を向いて少し遠くを眺めるようにして言った。
少し特殊な環境下で苦楽を共にしたこの2人の間に存在する信頼関係は特別だ。
「でもさ・・・どんなに大変だったとしても、俺はイチくんと一緒だったからあいつらの兄として頑張ってこれたんだよ」
「・・・その代償が極度のブラコン・・・か」
「イチくん」
「事実だ・・・さ、そろそろあいつらも帰ってくるんじゃね?」
「天使たちのご帰還か。ウザがられる前にアルバム、片付けとこ」
そう言って立ち上がったジロがアルバムをまとめて自室に持って行き、リビングに戻ってきた直後。
「ただいまー!!」
「ああもう・・・地獄でした」
「そんなこと言わない。あっ、イチロウくんとジロくん、アイス買ってきたから一緒に食べよ?」
真っ黒に日焼けしたサブ、ほんのり肌が赤いシロ、日焼け止めを塗りまくりで白肌死守のゴロが弾けるような笑顔で帰宅した。
シロだけは死んだ魚のような目をしているけれど、イチロウやジロから見れば彼も十分に楽しんだことくらい分かる。
「「お帰り!!」」
イチロウとジロが笑顔で迎え入れると5人が揃ったリビングは賑やかで、いつもの舞賀5兄弟の姿がそこにあった。
「イチロウさんはアイス、どれにします?」
「俺、抹茶」
「お、イチくん渋いね!じゃあ俺はチョコミントにするか」
「歯磨き粉味のアイス、よく食べられますね?俺はシンプルにバニラにします」
「は?チョコミント美味いじゃん!」
「はいはい、ゴロくんはどっちにする?俺は残った方でいいよ?」
「じゃあ、サブくん。俺はマロンクリームもらっていい?」
「OK、じゃストロベリーもーらい♪」
5人揃って食べるアイスの味は格別らしく、みんなの顔から笑顔がこぼれ落ちて幸せな空気が満ちていた。
きっとこれからもずっとずっと。
舞賀5兄弟は世界一の仲良し兄弟。
(終)