妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

「ええ、僕の大切なスタッフであり既に僕にとっても友人の1人にとなりました。お任せください。I田先生とも長いお付き合いができたら嬉しい」

智の言葉に斗真が安心したように頷くと、ヒートアップした潤とS井2人組の声が一段と大きくなった。

「は・・・?A葉を俺が預かるって・・・どういう意味だよ!?」

「だから!N宮もそうだけど雅紀も本格的にウチで預かることになったんだ!」

潤の言葉にますます不機嫌さを露わにしたS井が、

「もう・・・雅紀とか呼んでるんだ」

表情とは裏腹に寂しげな声色で呟く。

「・・・S井?」

コロコロと変化するS井の様子に勢いを挫かれた潤。

いつも業務上で接する相手とはタイプが違うS井に執事としてのリズムをすっかり崩されまくりな潤は、

「・・・だから・・・その」

智に助けを求めるように視線を寄越した。

潤の縋るような眼差しを受け止めた智が、2人の仲裁に入り、

「本当に珍しいね?潤がそこまで追い詰められるなんて。けど、確かに今までに経験したことがない異常な状況ではあるかな?ね、S井くん、少し話を聞いて欲しい」

智に名前を呼ばれたS井はしおらしい態度で、

「・・・はい」

と、返事をした。

「潤、お前とS井くんは立ち位置が近すぎるみたいだ。だから同程度の熱量で反応するし反発もする。それはとてもいいことだと思う」

「・・・どういう意味ですか?」

「本音で話せる相手になり得るってことだ・・・親しい間柄の人間が増えることは喜ばしい。潤、今まで接してきた多くの人間はお前を前にすると萎縮して最初から関係性には壁があるような・・・本音を語ろうとしない人間ばかりだった。だけど、S井くんは違う・・・これがどういう意味か分かるかい?」

「・・・・・・」

まだ若い潤や智、智の大学は別として彼らを取り巻く環境的にはそれ以外で接する人間は年上が多く、元から同年代の人間と出会う機会は少ない。

「潤、S井くんのことをもっとよく観察してみるといい。同じ目線で話してくれる友人の存在は貴重だよ?」


「・・・はい」


渋々ではあるが智の言葉を素直に受け止めるように返事をした潤がちらりとS井に視線を向けると、同じようにこちらの様子をうかがっていた彼と目が合った。