妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

「・・・だから、なんだよ?」

「うん、あのさ・・・」

「ハッキリ言えよ・・・気まずくなるだろ?!」

「S井がそんな表情するからだろ!」

「そんなってどんなだよ!!」

「うるせーな、説明しにくいんだよ!!!」

わちゃわちゃと仲良く喧嘩を始めた2人をニコニコと眺めていた斗真がベッドに座った智の傍に寄ってから片膝を突き、

「我々はここちらで話を進めましょう・・・検査のスケジュールはこんな感じで・・・脳ドックにプラスして脳波とか・・・記憶に関する検査もと考えていましたが、O野さんとお話する限り必要なさそうなので・・・省きますか?」

斗真の診察はこの部屋に入った瞬間から始まっていたらしい。

 

斗真がタブレットを見せながら今後の予定を確認する。

「医療に関しては僕は素人ですので、I田先生にお任せします」

智が言うと、

「承知いたしました。では検査に関しましてはその都度、看護師がお声がけさせていただく形になります」

斗真はタブレットを閉じてから立ち上がって、まだガチャガチャとやりあっている潤とS井の方へと視線を向けた。

そこに在るのは研究者然としたS井ではなく、斗真が知る本来の、素の彼の姿だった。

「・・・久しぶりです、彼のこんなに人間らしい姿を見るのは」

目を細めた斗真に、智が興味深げに視線を送った。

「研究医を目指してラボに入った後は・・・なんと表現すればい良いのか難しいのですが。責任感の強さも影響しているのでしょうか・・・俺たちと同期会をしていても硬い表情で心ここにあらずといった様子のことが多くて心配していました」

「・・・彼は優秀な人材です。若くして一つの棟の管理者になるほどに・・・その分、計り知れないプレッシャーを与えてしまっていたのかもしれない」

智が呟くと、

「けれど、彼・・・M本さんが今後は良い影響を与えてくれそうですよね?彼は翔くん・・・失礼しました。S井先生の心の鎧をすっかり脱がせてしまっている」

斗真が嬉しそうに応える。

「いえいえ、潤があんな風に子供っぽくなるのも珍しいですよ・・・きっと相性がいいのでしょう。まぁ、色々な意味でこれから大変そうなんですけどね、彼らも」

含みを持った言い方をした智に、

「深くはお聞きしません。が、S井先生のことを、いえ。翔くんのことをお願いします・・・これは彼の友人としてのお願いです」

そう言ってからペコリと頭を下げた。