妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
「うん、大丈夫だ」
「分かりました」
通話を終えたS井は、今度はPCのキーボードをカタカタと操作すると数分後にメールが送信されてきた。
そこには入院に関する説明や同意書などの書類が添付されて、
「副社長、時間のある時にこちらの書類に目を通して問題がなければサインをお願いします」
S井が画面を指し示しながら説明すると智が頷き、
「M本、お前宛のアドレスに転送していい?」
と、視線をM本へと移した。
「お前とか言われる筋合いはないが・・・了解した」
ぶっきらぼうに返したM本の姿を見てS井がプッと吹き出しす。
「なんだよ・・・お前、人間っぽくなったじゃん」
「・・・は?」
「いや、昨日は何を考えてんのか分かんねーし、めっちゃ感じ悪い奴だとしか思えなかったんだけどさ?今日のお前、昨日よりいい感じじゃね?」
・・・似たような台詞を雅紀にも言われたことを思い出した潤が、
「マジか・・・俺の第一印象ってそんな最悪?」
少しだけ凹んだ様子を見せると、今度は智も笑った。
「・・・ボス(恥)」
「うん・・・いいと思う・・・今日の潤。悪いな・・・俺の手前、素の自分なんて・・・出せないに決まってる・・・スケープゴードみたいな役割までさせて・・・ごめん」
「・・・ボス」
「潤・・・他の使用人とかの前ではアレだけど・・・そうじゃなければ今みたいな雰囲気、俺は嫌いじゃない」
「急にそんなことを言われましても」
「それにほら・・・このS井くんとも・・・A葉くんとか・・・その、N宮くんとか・・・新しい交友関係も広がりそうなことだし、少しずつ変えていっても悪くないと思う」
「・・・そういえば、A葉とN宮は」
「・・・うちの屋敷で預かってる」
潤がそう言うと、S井が少しだけ不満げな表情を浮かべる。
「・・・S井、どうかしたのか?」
「・・・別に」
潤の問いかけにS井は己の中で湧き上がってきた嫉妬心にも似たような感情に気が付き狼狽え、その場を誤魔化すように席を立つ。
「あっ・・・おい!S井?!」
潤が声をかけると一瞥を投げ、そして智と潤に向かって丁寧に一礼するとそのまま部屋から出て行ってしまった。