妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

 

「ええ・・・先ほどもお伝えしましたが、あの薬で記憶障害が出るなんてことは考え辛いんです。それにN宮の記憶だけが抜け落ちているのもおかしい」


S井の言葉に智は怪訝そうな顔を向ける。


「俺の大学の同期に脳神経外科の医者がいます」


「・・・そうか、S井は医師免許持ちだったな・・・ラボの管理者になるには医師免許が必須の条件だったはず」


「ああ、俺は臨床じゃなくて基礎研究医志望で大学院を卒業してすぐこっちに来たからな・・・臨床に関しては自信ない」


「つまり?」


「そいつに繋ぎをつけますので、検査を受けてみてはどうでしょう?脳神経学は記憶に関する分野です・・・もしかしたらなにか手がかりを得ることができるかもしれません。もしそこで異常がなければ・・・脳ではなくて心の問題の可能性も出てきますが」


「S井くん・・・」


S井の提案に智は困ったような顔をするから、


「もちろん、個人情報の取り扱いに関しての心配はありません・・・VIP棟に入院すればいいと思います・・・その辺りは完璧かと」


「VIP棟?そんな部屋があるのか?」


「ええ、まぁ・・・俗称的にVIP棟と呼んでいるだけです・・・政治家とか芸能人とか・・・一般病棟ではプライバシーが保てないような人物が入院する病棟です」

「そんな場所があるのか・・・?」


「はい、VIP棟は全て個室ですし、検査や処置をするにしても専用のエレベーターと通路があります・・・時間帯の考慮も柔軟です」


S井は軽く頷きながら答えると、智は少し考えてから潤へと顔を向けて、


「・・・どう思う・・・潤?」


判断を仰いでくる。


潤が不要だと言うなら検査は受けないという意思表示だろう。


それに気づいたけれど、自分は副社長付き秘書であって決断を下す立場ではない。


「・・・私はボスの決定に従います」


潤が己の意思を伝えると、


「そうか・・・」


智が頷きで返した。


S井は2人のやり取りを黙って見守っていた。


「では、お願いしようかな」


「わかりました・・・入院の手続きが可能か早急に当い合わせします。スケジュールは大丈夫ですか?」


「うん、大学は休むからなるべく早めで」

 

「わかりました。もう9時を過ぎていますし・・・とりあえず連絡をとってみます」


S井はそう言うとそのままどこかへ電話をかけ、


「明後日から・・・2泊3日での入院になるそうですが、大丈夫ですか?」


一度、スマホから耳を話して確認をとった。