妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
「俺の名刺だ・・・裏に書いたのが俺のプレイベート用の電話番号だ」
「え・・・?」
「また・・・連絡してこい」
A葉が驚いて潤の顔を見上げると、今度は潤の方がA葉の目を直視できずに視線を逸らして、
「とにかくお前は風呂に入れ、俺はボスとN宮の様子を見てくる」
彼がそう言うと、
「そうだ・・・ニノ!」
A葉が慌てて立ち上がろうとした。
「うわっ・・・!」
そのまま膝から崩れ落ちそうになったのを潤が咄嗟に支え、
「あっぶねぇ・・・」
無意識に呟いた後で、
「・・・まぁ・・・仕方ないか・・・半分は俺のせいなんだし」
言うが早いかまたA葉をサッと抱き上げて、
「・・・雅紀」
下の名前を呼ぶとA葉が目を大きく見開いた。
「・・・え・・・俺の名前」
「風呂までは連れて行ってやる・・・けど俺はこの後は仕事だ。お前、自分の身支度は自分でなんとかしろよ?」
「・・・はい」
「後でまた様子を見にくる。水も置いておくからしっかり飲んどけよ?」
潤は湯張りを済ませた浴槽にA葉を沈めて、その後で水を一本手渡した。
「え・・・冷たく・・・ない」
A葉が悲しそうに呟くと、
「・・・俺は常温の水しか基本、飲まないんだよ・・・後で冷たい水も持ってきてやるから我慢しろ」
潤はA葉の素直な言葉に気を悪くするでもなく、彼の頭をポンポン叩いてから浴室を出ていく。
そんな潤の背中を見送りながら、
「M本さん・・・ありがと」
A葉は小さな声で呟いた。
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「雅紀、食事だ」
言葉通り7時を少し過ぎた辺りで潤がワゴンに乗せた朝食を運んで来た。
A葉は潤から借りた服に袖を通し潤の自室で待機していたが、
「その姿は・・・」
昨日とは異なる執事服姿の潤に見惚れている。
「ああ、これが屋敷で執事として働く時の制服みたいなもんだよ。スーツは外出用」
「え・・・めっちゃかっこいい・・・です」
「は・・・!?」
照れ隠し的に大きな声になった潤に、雅紀はしおしおと小さくなる。
「あっ・・・悪い」
「いえっ・・・あの・・・」
「・・・なんだ?」
A葉の声に顔を上げた潤は、昨日までの無表情な彼ではなく少し柔らかい雰囲気でA葉の次の言葉を待っているようだった。