妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

 

「俺の名刺だ・・・裏に書いたのが俺のプレイベート用の電話番号だ」

「え・・・?」

「また・・・連絡してこい」

A葉が驚いて潤の顔を見上げると、今度は潤の方がA葉の目を直視できずに視線を逸らして、

「とにかくお前は風呂に入れ、俺はボスとN宮の様子を見てくる」

 

彼がそう言うと、

 

「そうだ・・・ニノ!」

A葉が慌てて立ち上がろうとした。

「うわっ・・・!」

そのまま膝から崩れ落ちそうになったのを潤が咄嗟に支え、

「あっぶねぇ・・・」

無意識に呟いた後で、

「・・・まぁ・・・仕方ないか・・・半分は俺のせいなんだし」

言うが早いかまたA葉をサッと抱き上げて、

「・・・雅紀」

下の名前を呼ぶとA葉が目を大きく見開いた。

「・・・え・・・俺の名前」

「風呂までは連れて行ってやる・・・けど俺はこの後は仕事だ。お前、自分の身支度は自分でなんとかしろよ?」

「・・・はい」

「後でまた様子を見にくる。水も置いておくからしっかり飲んどけよ?」

潤は湯張りを済ませた浴槽にA葉を沈めて、その後で水を一本手渡した。

「え・・・冷たく・・・ない」

A葉が悲しそうに呟くと、

「・・・俺は常温の水しか基本、飲まないんだよ・・・後で冷たい水も持ってきてやるから我慢しろ」

潤はA葉の素直な言葉に気を悪くするでもなく、彼の頭をポンポン叩いてから浴室を出ていく。

そんな潤の背中を見送りながら、

「M本さん・・・ありがと」

A葉は小さな声で呟いた。

 

******

 

「雅紀、食事だ」

言葉通り7時を少し過ぎた辺りで潤がワゴンに乗せた朝食を運んで来た。

A葉は潤から借りた服に袖を通し潤の自室で待機していたが、

「その姿は・・・」

昨日とは異なる執事服姿の潤に見惚れている。

「ああ、これが屋敷で執事として働く時の制服みたいなもんだよ。スーツは外出用」

「え・・・めっちゃかっこいい・・・です」

「は・・・!?」

照れ隠し的に大きな声になった潤に、雅紀はしおしおと小さくなる。

 

「あっ・・・悪い」

「いえっ・・・あの・・・」

「・・・なんだ?」

A葉の声に顔を上げた潤は、昨日までの無表情な彼ではなく少し柔らかい雰囲気でA葉の次の言葉を待っているようだった。