妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
「・・・悪かった」
イチロウは穏やかな表情でそう言うと、
「サブ、シロを呼んできてくれ」
サブに声をかけると、
「・・・俺、ここにいます」
白いトレーナーを着たシロが遠慮がちにキッチンへと入ってきた。
5人が揃ったもののぎこちない空気が流れる中、
「シロ、座るぞ」
その空気を動かしたのは、イチロウだった。
「「「あ・・・」」」
以前の喧嘩の様子を思い出した3人が焦ったような顔を浮かべるも、
「・・・うん」
シロは3人が拍子抜けするくらいに素直に従う。
2人の動きを視線で追う3人に見守られながら、イチロウとシロは並んでダイニングテーブルに座った。
その後に続いてサブがお誕生日席に、シロの前にジロ・イチロウの前にゴロが座った。
座ったがいいが漂うのは微妙な空気感の中、口火を切ったのはやはり長男であるイチロウだった。
「心配をかけて悪かった」
最初に謝罪の言葉を言って、イチロウはグルリとジロ・サブ・ゴロに視線を一巡させてから隣に座ったシロに落とした。
そして暫しシロを見つめてから立ち上がって、仏壇に飾られた母の遺影の前に移動してから手を合わせる。
「・・・母ちゃん、大切な時期に兄弟喧嘩なんてして・・・心配かけてゴメン」
そんなイチロウの動きを視線で追っていたジロ・サブ・ゴロも立ち上がってイチロウの背後に座り、最後にシロが立ち上がってノロノロと最後列に着こうとしたのを、
「お前は・・・こっち」
「ちょっ・・・イチロウさん?!」
イチロウが腕を引いて自分の隣へと座らせた。
「母ちゃん、しかも超絶くだらねー喧嘩内容でゴメン」
そう言って深々と頭を下げたイチロウ、それに倣ってシロも耳まで真っ赤になりながら頭を下げる。
そんな2人を訝しげに見守っていたジロたち。
「・・・いや、まさかシロが自分の誕生日プレゼントに俺と手ぇ繋ぎたいとかさ?そんなリクエスト寄越すなんて思わなくて動揺して・・・気がついたらあんなことになってたんだわ」
イチロウの告白にポカン顔の3人は、
「・・・は?」
「・・・え?」
「・・・何それ」
一様に驚きを隠せずにいた。
「だからゴメンって・・・俺もまさかシロがあんな切れるなんて思わなくて。『ガキみたいなこと言ってんじゃねーよ?』って軽く返したら、本気でブチギレてさ?仲直りしようにもシロからはフル無視されるし」
困り顔でシロを見たイチロウに、
「だって俺・・・めちゃくちゃ勇気出したのに」
シロは半泣き状態で。
「まさか・・・それが兄弟全員を巻き込んだ喧嘩の原因とか言わないよね?」
ゴロがドン引きしつつ確認をすると、
「・・・ゴメン」
「ゴメンなさい」
と、間接的にではあるがそれが喧嘩の原因であることを認めたのだ。