妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
部屋数の関係上、シロとゴロは今でも同じ部屋で2段ベッドで寝起きしていて、この年代でそれでも互いの存在を全く疎ましく思っていない辺りは特別な関係だと言っても過言ではない。
ゴロからすれば大好きなシロに非があると決めつけたような発言をジロがしたことが不満らしく、珍しくジロに真っ向から反抗した。
そしてジロは自分を真正面から睨み付けているゴロの姿に成長を感じつつもやはり納得できず、睨み合う2人の間には不穏な空気が漂っている。
どんなに仲が良い兄弟でも成長と共に関係性が変化していくことは仕方がないこと。
けれどほんの数日前まで近所でも評判の仲良し5兄弟、この突然の変化に困惑しているのは全員同じだろう。
「ねぇ・・・ちょっと・・・俺たちまで喧嘩しちゃダメだよぉ・・・冷静になろ・・・ね?」
オロオロとしつつも2人の間に割って入ったのはサブ。
「サブロウくんはどっちの味方なの?」
「そうだぞサブ、お前の意見はどうなんだ?!」
けれどジロとゴロに詰め寄られて、
「・・・う。俺は・・・イチ兄とシロに仲直りしてもらって・・・今まで通りの舞賀家でいたい」
と、自分はあくまで中立的な立場だと消極的にではあるが主張する。
「そんなの・・・ズルいよ」
「サブ、俺が求めてんのはお前の意見だ!」
「だって俺・・・イチ兄とシロが喧嘩してるのも・・・ジロ兄とゴロが喧嘩してんのも・・・どっちもヤダ」
ジロとゴロに詰められたサブが怯みながらも素直な意見を言った後でシュンと肩を落とすと、その姿にジロとゴロは一瞬だけ気まずそうな顔をした。
けれどすぐにプイッとソッポを向いて、
「ご馳走様」
「・・・俺、食器の片付けがあるから」
ガタガタと席を立ち、ジロは浴室へ、ゴロは食事の後片付けを始める。
その場で茫然と座ったままのサブ。
ぶっちゃけ、今まで喧嘩らしい喧嘩もしてこなかった5人。
故にこのような状況に陥った時の対処能力は残念ながらゼロに等しいのが現実だった。
「なんで・・・どうしてこんなことになってるの?」
サブは俯いたままでグズっと鼻を鳴らして立ち上がった。
顔を上げることができないのは泣いていることをゴロに知られたくないから。
けれどサブの前腕部には落ちた涙の滴が光っていて、ゴロは背中を向けてはいるもののサブの気配がいつもと違うことくらいは気がついていた。