妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
「まーくん・・・・!」
A葉の様子に驚いたように、N宮も苦しい呼吸の下で彼に手を伸ばそうとして智に制止され、
「・・・くそっ・・・離せ・・・っ!!」
N宮は全身で抵抗を試みるも、智に全く効果はない。
そんなN宮とA葉の2人の様子にも潤の表情が動くことはない。
この場で唯一の味方だとN宮が信じて疑わないA葉は、N宮の意思に反して、
「M本さん・・・俺・・・もう・・・限界・・・です」
縋るような視線を潤に向けた。
「・・・聡明だ」
そんなA葉の姿に智は満足げな笑みを浮かべると、
「潤」
視線で彼に何かを告げた。
「承知しました・・・智さん・・・おそらく明朝まで私は呼び出しに応じることはできないと思いますが」
「構わない・・・こっちも似たような状況だろう」
絶望的な表情を浮かべたN宮の後頭部に右手を滑らせ髪を鷲掴みにすると、
「・・・薬の効果がどれほどのものか・・・見ものだな?N宮和也」
智が不敵な笑みを浮かべた。
ピカピカに磨き上げられた重厚感のある木の床、続く先にあるのは床材と同じ素材で作られたシンメトリーな階段だった。
智はN宮を引き摺るようにして階段を上ると、その途中で左右に分かれて更に短い階段が続く。
その左にある階段を上り切った智とN宮は、一番奥にある部屋へと姿を消す。
シンと静まり返った空間に取り残された潤とA葉、
「・・・いい仕事だった」
ポツリと潤が呟くと、
「・・・もう・・・この状況でごちゃごちゃ言っても・・・無駄・・・でしょう?」
形で苦しげに呼吸しながらA葉が答えた。
「それに・・・俺もこの状態じゃ・・・ニノのことを・・・助けることもできませんし」
「・・・お前」
潤は一瞬、何かを言いかけてから口を噤んで、
「俺の部屋は右の奥だ・・・行くぞ」
A葉の左肩に自分の右肩を差し込みながら言う。
A葉は潤に肩を借りて移動するも、すぐにその場に蹲ってしまった。
「・・・あっ!?」
次の瞬間、急に視界が変わったことに驚いたA葉が声を上げる。
「・・・大人しくしてろ」
気がつけばA葉は潤に抱き上げられていて、
「あのっ・・・」
「暴れたら落とすからな?重いんだよ・・・お前は」
潤の言葉に、咄嗟にA葉は潤の首へとしがみついた。