妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

「そもそも、N宮は当家の根幹に関わる人間としての身分が相応しくない・・・と、ボスの血縁にある多くの皆様はそう考えております」

 

「・・・相応しくない・・・N宮に何か問題でもあるのか?」

 

「・・・家柄・・・ですかね、N宮はごく一般的な家庭の出身ですから」

 

潤は一言返して、

 

「周囲が大反対する中、ボスは自分が見つけたN宮を半ば強引に秘書に据えたのですよ?その後でN宮の特殊能力に目をつけた幹部が、彼が今後も継続的に研究の被験者となることを条件に渋々認めた形です。お2人が初めて会ったのもラボの中でしたし」

 

その後で苦笑を漏らした。

 

「長く続く大野家には・・・前時代的な古い考えの人間が多いようです。今の世の中で家柄などにこだわる意味が私には分かりませんが。私はあくまで、個人の資質と能力が重要だと考えております。N宮はそれらも兼ね備えた人物だと私は考えております」

 

「お前・・・相変わらず毒舌だな ww。それにしても潤が手放しで他人を褒めるなんて珍しい・・・それだけ優秀な人間だということ・・・か」

 

「ボスに問われたことに対する、私の素直な考えを述べたたまでです・・・さ、ボス?お風呂の準備は整っております」

 

「・・・うん」

 

潤に促され智は室内にある浴室へと姿を消し、それを確認したかのようにゆっくりとN宮が瞼を開けて溜息を吐く。

 

浴室から出てきた潤が、

 

「カズ・・・大丈夫か?」

 

と、言いながらベッドサイドに腰を落とした。

 

「・・・大丈夫です」

 

「お前・・・大丈夫か?」

 

「・・・何がですか?」

 

「いや・・・その」

 

「ふふ、大丈夫ですよ?それに・・・僕とあの人はこんな形でしか・・・繋がっていられないのも事実ですから」

 

「・・・カズ」

 

「潤くんって見かけによらず優しいですよね?僕は大丈夫・・・僕に構わず・・・智の側にいてあげてください」

 

「・・・分かった」

 

「では、僕はもう暫く横になっていますので・・・後のことはよろしく願いします」

 

カズはそう言うと、潤に背中を向けてゆっくりと目を閉じた。

 

白いグローブをした潤が手を伸ばし労わるようにカズの背中を摩ると、安心したような溜息が彼の耳へと届く。

 

潤に背中をさすられながら・・・すぐに再び眠りの世界へと落ちたカズは、そのまま智が部屋を出るまで暫し仮眠を取ることにした。