妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

笑いを堪えきれない様子のM本さん、今のところはとっても優しそうで般若な姿なんて想像できない。

 

「せっかく来てくれたのにゴメンね・・・今、彼は4人目のお客様をエスコート中なんだ」

 

展示会場に案内してくれたM本さんは、申し訳なさそうな口調で俺に謝罪の言葉をくれる。

 

「そんな・・・俺の方こそ、忙しい時にお手を煩わせてしまって・・・ごめんなさい」

 

慌てて謝罪で返すと、

 

「大丈夫だよ?むしろO野さんがS井くんが来るってことで気合入ってるみたいだし、ありがたいくらいだよ。彼、作品の製作は好きだけど商売に関しては無頓着で」

 

M本さんは深い溜息を吐いた。

 

「・・・そうなんですか?」

 

「うん、今回の個展だって自分が表に出ることに関しては乗り気じゃなかったんだけど。でもS井くんが来るって決まってからはやる気になったみたいで」

 

「智くんが・・・?」

 

不用意に呟いてしまったその言葉にM本さんが敏感に反応して、

 

「へぇ・・・あの人、S井くんには【智くん】って呼ばせてるんだ・・・?」

 

興味深げに顔を覗き込まれて、

 

「あのっ・・・違うんです・・・俺が勝手に」

 

言い訳の言葉を並べみるも、敏腕マネージャー相手には無駄な努力だった。

 

「隠さなくていいんだよ?O野さんがキミに惚れ込んでいることは知ってる」

 

急にそんな風に言われて、

 

「・・えっ?!」

 

絶句して次の言葉を繋げないでいると、

 

「ふふ、俺とS井くんを会わせることすらめちゃくちゃ嫌がってたからね・・・俺がS井くんに手出しするかも知れないって」

 

M本さんはクスッと笑うと悪戯っぽい表情で言う。

 

「・・・え?」

 

「安心して?俺とO野さんは同じ嗜好ではあるんだけれど、相手の趣味に関しては合わないはずだから。最初に言っておくと、俺とO野さんの間にも何もないから誤解しないでね?あくまで画廊に所属するアーティストと臨時マネージャーって関係なだけだから」

 

「え・・・は・・・あの・・・分かりました・・・?」

 

情報量が多くて話が頭に入ってこなくて混乱していると、

 

「でも・・・今回だけは・・・ちょっと」

 

M本さんは意味ありげな顔で俺を真正面から見つめ、

 

「今回だけはO野さんの気持ちも分かるかも・・・よく見つけたよね?こんな可愛い子・・・もしO野さんのことが嫌になったら俺のトコにおいで?」

 

そんな風に耳元で囁かれて情報処理が追いつかず俺は思考ごとフリーズして動けなくなった。