妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
その日は食事を済ませて風呂に入って、翌日の個展に合わせて早めにベッドに入ることにした。
「・・・おやすみなさい、智くん」
キングサイドのベッドに滑り込み、俺が意図的に人が1人入るくらいのスペースを空けて自分のポジションを決める。
けれど、
「翔くん・・・こっち来て」
そういいながら智くんに右腕を引かれたかと思ったら、あっという間に彼の腕の中へと引き寄せられてしまった。
「早く眠らないとダメだよ、智くん」
だからあえて少し離れた位置に寝ようとしたのに、
「こうした方が熟睡できるんだってば」
とか言いながら、智くんは俺を離そうとしない。
智くんは【抱き合う】と言うより、俺を抱きしめる(照)ことの方が好きらしくて、いつも俺の顔が智くんの胸の位置に来る感じで。
でも、智くんは嘘を吐いてる・・・だって、俺ってば寝相と寝言・・・酷いはずだもん。
だから熟睡なんてできるはずない(涙)。
深い関係になった女の子たちからそのことはいつも指摘されていたし、それなのに俺を精神的な安定剤みたく扱う智くん。
ねぇ・・・俺・・・本当に智くんの役に立ってる?
って、また急な不安が襲って来て、怖くなってギュッと智くんの胸に顔を押し付けると、
「・・・翔くん?」
呼応するみたく智くんの声色にも不安感が滲んだ気がした。
「・・・ねぇ・・・智くん・・・俺のこと・・・好きですか?」
我慢できなくなって智くんの胸に顔をくっつけたまま、改まった口調で問うた俺に、
「まだその部分から不安なの?」
と、智くんが溜息を吐いたことが分かった。
「だって・・・俺、智くんと違って普通だし・・・特にこれといった才能もないし」
弱気な発言をした俺。
「・・・一目惚れだったんだよね・・・俺」
けれどそれに対して返ってきた言葉が意外過ぎて、
「・・・え?」
思わず顔を上げて、上目遣いで智くんを見つめると、
「初めて会ったあの瞬間に、俺は翔くんに惚れてた」
困ったような表情でそう言ってくれた。
「それ・・・本当に?」
「ガチだから。恥ずかしくて言えなかったけど・・・気がつけば人混みの中に翔くんの姿を探してることに気がついて、自分でもびっくりした・・・でもさ?」
智くんは俺を抱きしめる腕に力を込める。