妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

翔は潤を優しく抱き締めながら、

 

「・・・なぁ?俺って今・・・とてつもなく幸せかもしれない」

 

潤の耳元でそう囁くと、潤は翔の胸に頬を擦り寄せながら小さく頷いた。

 

「『かも』じゃなくて・・・俺は・・・幸せ」

 

体重の全てを預けてきた潤、翔は汚れた手をシーツで適当に拭ってから壊れ物でも扱うかのように優しい仕草で潤を横たえ、自分もその隣へと滑り込んだ。

 

「潤・・・」

 

「しょおくん・・・大好き」

 

「・・・うん」

 

穏やかな沈黙の後に訪れたのは、二つの安らかな寝息。

 

2人はそのまま眠りの世界へ落ちていったのだった。

 

*****

 

 (DAY5)

 

翌朝・・・目を覚ました翔が先ず感じたのは・・・左腕が軽く痺れている感覚。

 

横たわった状態のまま視線だけ左腕の上に遣るとそこには潤の頭があって、自分の右手首から伸びた鎖の先には潤の左手があった。

 

柔らかい潤の髪の毛が顎先をくすぐり、その感触がこの状況が現実だと教えているみたいで翔は安堵にも似たなんとも言えない感覚に苦笑する。

 

「・・・こういうのってハネムーンシンドロームっていうんだっけ?」

 

随分と甘ったるい呼び名がついているけれど、端的に説明してしまうなら【橈骨神経麻痺】という状態だ。

 

サタデーナイト症候群などと呼ばれることもあり、要するに腕枕をすることで神経が圧迫されて麻痺症状を生じることを指す。

 

幸いにも翔の状態は極軽いものでゆっくりと潤の頭の下から腕を引き抜いて暫くすると痺れはすぐに改善した。

 

そんな朝のひと時をぼんやりと過ごしていてハッとした翔は、慌ててスマホを取って時刻を確認する。

 

時刻は午前5時を少しすぎたところ。

 

迎えが来るまで残りが1時間20分ほどしかないと知り、翔は溜息を吐いた。

 

「あーもう・・・今日は休みてー・・・潤とこのまま、ずっとゴロゴロしてたい」

 

翔の心の声は口からダダ漏れで、けれどそんな勝手が通じるわけもないと分かっているから溜息の一つも吐きたくなる。

 

それにしても・・・潤のヤツよく寝てんなぁ・・・。

 

自分の左腕に頭を預けて、安心しきってスヤスヤと眠る潤はまるで子供のような幼い表情をしていて。

 

今までどんだけ気を張ってたんだよ・・・ばか。

 

と、翔は内心で不満を漏らした。