妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

「・・・潤?」

 

バスルームには2人が動くたびに発せられる小さな水音だけが儚げに響いていて。

 

それが止まない内に、

 

・・・チュッ♡

 

潤が小首を傾げて自分の唇を翔の左頬に寄せ、軽く触れた。

 

「はっ?!ちょ、お前・・・!」

 

慌てた翔がパシャっと水面を揺らしながら少し後ずさる。

 

もっとも狭い浴槽内では逃げ場なんて存在するはずもなく、身体の動きに大きく波のように揺れたお湯が浴室の床を軽く叩いた。

 

「ふふふっ♪びっくりしたしょおくんの顔って可愛いよね♡」

 

潤はそう呟くと額を翔の左の肩先に付け、

 

「・・・お前、酔ってる?」

 

困惑したような翔の言葉を受けて、

 

「別の意味で・・・酔ってる。もぉ・・・限界」

 

言い終わった直後、潤の全身から急に力が抜けた。

 

「・・・おい!」

 

プクプクと沈みそうになった潤。

 

咄嗟にそれを支えた翔は鎖で繋がれた不自由な手で潤を抱き上げて、急いで浴室を後にする。

 

まだお湯に浸かっただけでシャンプーも何もできてはいないが、そんなことを言っている場合ではない。

 

熱く火照った潤の身体を抱いた翔は、棚に準備されていた白いバスタオルを口に咥えてそのままベッドルームへと急ぐ。

 

壊れ物でも扱うようにそっと潤をベッドへと下ろし、不器用な仕草ではあるものの濡れた身体をバスタオルで拭う。

 

そして事前に枕元に置いていたペットボトルの水を口に含んだ翔は、それをそのまま潤の口へと運んで強制的に口腔内へと流し込んだ。

 

「んっ・・・ゲホッ」

 

潤の喉で動き水を飲み干したことを確認した翔は、

 

「急に倒れるんだからな・・びっくりした」

 

指先で潤の濡れた前髪を避けるようにして額を優しく撫でた後、身を屈めてその額にそっとキスをする。

 

潤の閉じた瞳がゆっくりと開き、自分を労わる翔の様子に涙腺を刺激されたのか長い睫毛がフルッと震えた。

 

「・・・しょおくん」

 

潤は力の入らない腕を何とか上げて鎖を手繰り寄せるようにして翔の手を取り、それを自分の頬に押し当てて小さく呟く。

 

「・・・ありがとう・・・しょおくん」

 

「いや、俺が悪かった・・・距離の詰め方・・・間違えた」

 

翔がそう呟くのを聞いて、潤はフルフルと首を横に振る。

 

そして、ゆっくりと身を起こすと翔の首に腕を回してその頬に自分の頬を擦り寄せた。


瑞樹注:意識がハッキリしない人に水を飲ませちゃいけません😅