妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

「・・・却下」

 

「なんで・・・!」

 

「この生活も残り3日だ・・・全力で楽しまないともったいないだろ?」

 

「・・・もったいないって」

 

「この特殊な状況を楽しむんだよ?ほら、諦めてこっち来い」

 

「・・・しょおくん!」

 

鎖を引かれた潤が体勢を崩した隙に翔は彼を浴槽に押し込み、そのまま翔が潤を脚の間に置きバックハグをする形でさほど大きくもない浴槽に収まった。

 

ぴったりと密着する2人の身体・・・柔らかなお湯越しに触れ合う互いの肌。

 

いつもは先にどちらかが洗い場・どちらかかが浴槽だったから、この状況は2人にとっても初めてのこと。

 

翔は背後から満足げに潤の様子を伺い、潤はそんな翔の視線から必死で逃げていた。

 

「しょおくん・・・かけ湯すらしてないんだけど・・・俺たち」

 

「あ?俺とお前の2人しかいないんだからそんなもん必要ないだろ?どこまで真面目なんだよ、お前は」

 

「もぉ・・・めちゃくちゃなんだから」

 

潤はすっかり諦めた様子を見せ、けれど緊張感と羞恥心からか身体を丸めるようにしてフリーズしている。

 

翔はそんな潤の身体を背後から抱き締め、肩に顎を乗せるようにして更に密着した。

 

「・・・しょ・・・」

 

「ちょっと黙ってろ」

 

潤の言葉を遮り、翔は抱き締める腕に力を込める。

 

じわりと温かなお湯の温度を身体中で感じながら甘えるように抱きすくめる翔に、多少の居心地の悪さを感じているようではあるがされるがままになっていた潤。

 

何分か経つと少しずつ身体の強張りも解けてきたのか、潤がゆっくりと背中を翔に預けた。

 

その後で身動ぎして翔の腕の中で身体を反転させ、2人は正面から向き合う形になり人は自然と見つめ合う。

 

「しょおくん・・・」

 

「なんだよ?」

 

「俺・・・ちょっとのぼせちゃったみたい」

 

潤は潤んだ瞳で上目遣いで翔を見つめ、困ったように呟く。

 

「・・・潤」

 

「ふふ・・・なんかいつもと違って変な感じ」

 

そう言って笑った見慣れた角度とは違うアングルからの潤の表情はどこか幼く見えて、翔は思わず息を呑んだ。

 

ほんのりと上気した頬と少し開いた唇・・・そこからチラッと覗く白い歯・・・そして蠢く赤い舌先が妙に艶かしい。

 

バスルームの柔らかい照明の下、潤に見惚れたかのように翔が無言でいると、 

 

「・・・しょおくん」

 

潤は小さく笑って翔の肩口に自分の額をトンっと寄せた。