妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

 

「翔くんは家事に関しては心配だから・・・俺に任せてればいいよ」

 

だって(泣)。

 

でも、

 

「でも・・・俺、智くんのために何かしたい」

 

何もできないことが悲しくて恥ずかしくて目の奥がツンと痛くなって視界が歪む。

 

「ちょっ・・・泣かないで・・・困ったなぁ」

 

智くんは慌てて俺の抱き寄せて、優しく抱きしめてくれた。

 

優しくされるともっと涙が止まらなくなって、智くんを困らせる結果になっちゃった。

 

そうしたら智くんは、

 

「じゃあ、約束して。俺の個展の初日に必ず来てくれること」

 

って言い出して。

 

グズグズ泣きながら顔を上げると、智くんの優しい視線とぶつかった。

 

言われなくても初日に行くつもりだったけれど、それが智くんのためになるんだろうか?

 

「もちろん・・・そうするつもりで有給申請済ませてる」

 

「本当に・・・?」

 

「・・・うん」

 

「っていうか個展・・・土曜日が初日だけどさ?できたら金曜日から泊まって朝、俺を送り出して欲しい・・・ネクタイも翔くんが締めてくれたらもっと嬉しい」

 

「・・・智くん、俺・・・智くんの役に立ててる?」

 

「当たり前じゃん!翔くんが来てくれるって思ったら気合も入るし・・・それに朝、ネクタイ締めてほっぺにキスくらいしてくれたら苦手なアテンドも全力で頑張れる」

 

智くんのその言葉は、まるで俺は傍にいてくれればいいってくれているみたいで。

 

ここまで言われるなんて情けないと自虐的な気持ちと、反面嬉しい気持ちが同居するような複雑な感情を持て余しながら智くんを見ると。

 

「・・・可愛い」

 

とか言いながらオデコに甘々なキスをされて、もう俺の方は完全に智くんに骨抜きにされちゃってる。

 

それになんか・・・同棲中の恋人同士とか・・・自惚れゴメンで言っちゃうと・・・新婚さんみたいじゃない?

 

そう、まるで、

 

【家事がまだ苦手な新妻と、それを優しく見守ってくれる夫】

 

みたいな?

 

そっか、苦手な部分はこれから克服していけばいいのかな・・・なんて。

 

きっと智くんは、俺がポンコツでもできるようになるまで見守ってくれると思う。

 

俺だって、智くんが見てくれてると思えば苦手なことだって全力で頑張れる。

 

・・・でも。

 

俺と智くんの関係は・・・未だにはっきりとはしないままだ。