妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
智が目配せしていることに気がついたS井は笑いを噛み殺しつつ、
「じゃ、今日はこれで解散かな、いい?A葉くん」
S井がA葉に水を向けると、
「雅紀って呼んでって言ってるじゃん、翔ちゃん!」
と、TPOを読まない発言をして、咄嗟にS井が困ったような表情を浮かべた。
その短いやり取りで何かを察した智が勝ち誇ったような笑みを浮かべ、それに気がついたS井がこの世の終わりみたいな顔をする。
「とにかく!今日は解散・・・」
お疲れ様でした!
の、掛け声と共に集まった人間は散り、A葉もS井に急かされるようにして部屋を出る。
急に智と2人きりにされたカズが視線を彷徨わせている様が可愛くて、
「ほら、帰るぞ?」
智はこの後のことが楽しみで仕方がなくて、ワクワクを抑えきれない感じでカズの腰を抱く。
「・・・あの・・・人前でこういうのはダメです」
「誰もいないじゃん・・・可愛くない奴だな」
「誰が入ってくるかも分からないんですから、家とかのプレイベートな空間以外はダメです」
「真面目か・・・」
「どうせ僕はクソ真面目で面白みのない男です」
不貞腐れたカズの顔を真顔で見つめていた智は、
「ぷっ・・・」
つい吹き出してしまってカズの不興を買うことになる。
「悪い・・・いや、お前・・・・本当に可愛いな」
智が抱きしめると、
「僕・・・色々と諦めていました。どうして自分の人生はうまく行かないんだろうとか・・・周囲の楽しそうな人たちの姿を見ては悩みなんてなさそうで羨ましいな・・・とか、卑屈になってました・・・でも」
カズはそう言ってから顔を上げ、真っ直ぐに智の顔を見つめる。
「智になってみて・・・こんなに人気があって、歌もダンスも芝居も上手で、それをなんの苦もなくこなす智が・・・たくさん悩んで考えて・・・自分の努力でそれらを乗り越えてきたことを知りました・・・僕・・・以前の自分が恥ずかしいです」