妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

2人にはなんとなく思い当たることがあるもののそれが証明できない以上、不確定な話はさらなる混乱を招くと判断し咄嗟のアイコンタクトでカズと斗真は互いの意思を確認して口を噤む。

 

実は智にも思い当たる節があり、S井にもなんとなくは会話の中で伝えていたものの、けれどS井は直接的にそれが騒動の始まりの一端である可能性には思い至ってはらしく、智もそれ以上は何も言わない。

 

「でも・・・よかったじゃん、カズくんとO野くんは元に戻れたんだし」

 

「カズのお陰で活動には何の支障もないみたいだしな」

 

「・・・そんな」

 

「いや、カズは本当に頑張ってくれたから、ね?智くん」

 

「言われなくても分かってるよ・・・あんまりにもナチュラルだから、カズが俺としての生活を楽しんでるのか・・・それか俺の【O野智】としての記憶が妄想なんかもとかすら思った」

 

「楽しむなんて・・・(汗)。でも妄想かもっていう部分では僕も似たような悩みを持ちました・・・自分は本当は【O野智】なのかもしれないって」

 

「そうだよ・・・智くん!カズはプレッシャーとか不安に押し潰される寸前で!」

 

「分かった分かった・・・だから」

 

智はそう言ってカズの腰を抱き寄せると、

 

「これから一生かけて償うってば」

 

「「「えっ?!」」」

 

至極当然といった体で言い放った智の言葉に、カズはもちろんS井も斗真ですらフリーズしてバッと智に視線を集中させる。

 

「・・・あのっ」

 

カズが耳まで真っ赤になって逃げ出そうとするのを許さず、そのまま智は己の腕の中へとカズを納め、カズはS井と斗真の視線から逃げるように智の肩に額を付けてユデダコ状態。

 

「ハァ・・・バカバカしい」

 

斗真が含み笑いでそう言って、

 

「俺、先に戻って他のメンバーと打ち合わせ始めてるから、O野くんも時間通りに戻ってね?残り5分だから」

 

先に部屋を出て行って、

 

「・・・雨降って地固まる・・・って言っていいのかな?・・・とりあえずカズのスタッフ証でも作っておくか」

 

S井は腕組みをして首を傾げながら斗真の後を追う。

 

パタンと閉じられた扉。

 

智とカズの2人だけの空間になり、カズは自分の心臓の音が智に伝わっているんじゃないかと思うくらいにガチガチに緊張していた。