妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
「だってもう・・・こんな非現実的な出来事に遭遇したら、俺だって色々変わるって」
「うん・・・いいよ、翔くん。俺は今の翔くんの方が好き」
途端に赤面して俯いたS井を苦笑しながら見つめた智は、とりあえずこれまでの経過を2人で話し合うことにした。
「ごめん・・・カズの記憶がなくなってるなんて知らなくて。知ってたら、もう少し早く行動できたんだけど」
「ま、探しても見つからないはずだよね。智くんが完全にカズとして生きてたのなら手がかりなんてあるはずもないし・・・けど」
S井は大きなため息を一つ吐くと、
「思った以上に近くにいたなんて。ここ、事務所から30分も離れてないじゃん」
「なんだっけ・・・有名な言葉」
「灯台下暗し」
「それだ!」
2人は顔を見合わせてから吹き出し、それをきっかけに場の空気がすっかり和む。
「・・・よかった、これでカズにいい報告ができる」
「俺もやっとコイツと会えるのか・・・楽しみだな」
「・・・え?」
「・・・ん?」
「つまり、どういうこと?」
「んー・・・?」
惚けたように視線を逸らした智の様子に、S井は思い当たることがあって破顔する。
「・・・なんだよ」
ムッとした表情の智に、
「・・・カズが喜ぶと思って」
訳知り顔でS井はそれだけ言うと、
「・・・帰ろっか?」
立ち上がって智に手を伸ばす。
「・・・うん」
その手を智が取って、S井がその手を引いて立ち上がらせる。
それは止まっていた時間が動き出したかのような瞬間で、智をS井は視線を絡めて微笑みを交わした。
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「・・・と、言うわけなんだけれど」
「つまり、カズくんとO野くんの認識が微妙に噛み合ってなかったってこと?」
「俺とカズがテレパシーでも使えるならもっと分かりやすかったんだろうけど」
「・・・それ、非現実的過ぎませんか?」
「結局、2人がどうして入れ替わったのかは分からずじまいなんだよな・・・」
S井の言葉に、カズと斗真が一瞬だけ視線を合わせてすぐに逸らす。