妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 


 

「・・・はい」

 

「智くんってさ、性別関係なく人を引き付ける魅力を持ってると思うんだ・・・同性のファンも決して少なくない。特にさ、スイッチが入っている時とオフな時とのギャップも凄くてさ?」

 

「あ・・・それ、分かります」

 

「スイッチ切れてる時は可愛いなーって感じだろ?」

 

「そうなんです・・・僕が感じる普段の鏡に映るO野さんとパフォーマンス中の彼とのギャップですよね?」

 

「そうそう、それだよ!あれは沼るよな?」

 

「はい!」

 

智の魅力を語り合う2人はまるで盟友のような雰囲気になっていた。

 

目をキラキラと輝かせ推し活で推しの魅力を全力で確認し合うみたく会話を交わす2人は、やがて顔を見合わせて吹き出す。

 

「つまり、俺もカズも智くんのファンってことだな」

 

「・・・僕の方は拗らせちゃってますけど」

 

「カズ、俺にも今・・・気になる奴がいるんだ」

 

「えっ・・・誰ですか?!」

 

「内緒だ・・・けど、無邪気で天然な可愛い奴でさ・・・ちょっとウザい時もあるけど・・・とにかく可愛いんだ。だから、俺の推しは今はそっち」

 

「・・・あっ?」

 

カズにはS井の想い人に心当たりがあるのか、パッと顔を輝かせる。

 

「ストップ!前に言っただろ?思ったことをポンポン口に出すなって・・・特に芸能界なんてどこから足を引っ張られるかも分かんねーし」

 

「はい、ふふ・・・でも、よかった」

 

カズは心底安心したようにため息を漏らすと、

 

「僕のO野さんに対する気持ちを否定されなくて・・・嬉しいです」

 

カズが笑うと、智の顔がフニャッと優しいそれに変わった。

 

S井はそんなカズ(と、智)の顔を目を細めて眺めながら、

 

「結局は最初に戻るんだけど・・・まずは智くんが入ったカズを見つけないと話にならないんだわ・・・俺は智くんの方からの接触待つしかないと思ってる・・・いや、調査もしてるんだけど、ここまで見つからないと自信もなくなる」

 

そう告げてからポンとカズの背中を叩く。

 

「だからまずは・・・カズ、智くんがお前を見つけてくれるまで・・・頑張ってくれ」

 

S井の訴えは切実であり、

 

「僕も・・・元の僕の姿でO野さんに会ってみたいです・・・相手にされないかもしれませんけれど」

 

カズにとっても切実な内容だったが、

 

「・・・へぇ、いい傾向じゃん」

 

S井は何故か嬉しそうな顔をしていて、そんなS井に引き摺られるようにいつしかカズも笑顔になる。