妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

智を含めて6人で構成される【storm】は、被らない個性と個々の弛まぬ努力の結果、国民的アイドルと呼ばれる地位にまで成長したグループだった。

 

智との記憶の共有は完璧、斗真に促されモニターの前に座るとカズはstormのコンサート映像を食い入るように見る。

 

胡座をかいて座る姿、若干、猫背なその座り姿も完全に智だとS井は感心する。

 

破れんばかりの歓声、智たちのパフォーマンスに酔いしれる観客たち。

 

そして、その中心には常に智の姿があった。

 

それを見終えてから、カズは智以外のメンバーの名前と性格など的確言い当て、それを見てS井と斗真はホッと胸を撫で下ろした。

 

これなら・・・なんとかなる。

 

S井はそう感じていた。

 

けれど違和感がないわけではなく、それは斗真も同じような感想を抱いたらしい。

 

「カズくんは頭の回転が早すぎるね」

 

 ダンスのチェック終了後、カズが着替えを終えてスタジオを出たところでS井と斗真がそんなことを口にした。

 

「え・・・?」

 

一瞬、何のことか分からなかったカズがキョトンとした表情を浮かべている。

 

「 別に普通・・・ですよね?」

 

なんて返したりしたらS井たちに笑われるかもしれないと気づき慌ててカズは口を噤んだ。

 

そんなカズの仕草をみていたS井と斗真は苦笑しながら、

 

「変な意味じゃなくて。智くんってちょっと間の取り方が独特っていうのかな・・・あんま多くを語らないって感じのところもあるんだけど」

 

「うん、基本的にはメンバーを見守ってる感じだもんね・・・天然だし普段はポンポンと会話を返す感じじゃない。でも、ここぞって時はしっかりと発言してくれて、さすがはリーダーだなって感じがする」

 

顔を見合わせて頷きあった。

 

「あの・・・僕はどうすれば」

 

戸惑いを隠せないカズが不安げな瞳を向け、

 

「・・・メンバーには言わない予定なんだよね?社長にも??」

 

斗真もS井に確認するように問う。

 

「うん、俄かには信じられない内容だし、メンバーを混乱させたくない。だから、智くんは体調がよくないってことにしてもらって、あんま喋らない感じで」

 

「・・・はぁ」

 

「慣れるまでは俺がしっかりフォローするから心配しないで」

 

・・・っていうか、僕・・・いつまでこの状態なんだろ。

 

絶望感に打ち拉がれるカズの姿に、

 

「・・・気持ちはわかるんだけど」

 

S井が申し訳なさそうな視線を向けた。