妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

(翔目線)

 

・・・どうしてこうなった?

 

「よし、翔・・・来い!」

 

俺の目の前でやる気満々で拳を握り、構えの姿勢とっているのはO田先輩だ。

 

ドラマでのアクション指導がきっかけですっかり格闘技にハマったらしきO田くんは、今ではジークンドーとUSA修斗、カリという3種類の格闘技の師範資格保持者でもある。

 

もはや格闘家なO田くんと、運動をさほど得意としない俺がどうして対戦する羽目になっているのかというと。

 

ちょっと前にZEROで放送した俺の柔道着姿、それを見て『萌えた』からとかいう全くもって理解不能な理由からだった。

 

のらりくらりと彼の誘いを断り続けた俺だったけれど、

 

「お前が来ないなら俺が行くからな?」

 

なんていう恐ろしい宣言に白旗を上げ完全降伏状態の俺は、スゴスゴと彼の前に進み出るしかなかった。

 

で、イマココ←

 

O田くんが利用している道場、そこでO田くんの前で震える俺は肉食動物にロックオンされたインパラだ。

 

パワーも技術の差も歴然なのに、あえて戦いを挑もうなんて気になれるはずもなく、

 

「ほら、来い!どうした?!」

 

なんていくら挑発されても動くことすらできない。

 

O田くんに強制的に着せられた白い柔道着は撫で肩の俺には不向きでまだ何もしていないのにズリ落ち、綺麗に合わせたはずの前が乱れて半分はだけている。

 

でも、そんなもんどうでもいいから帰りたい。

 

つか、逃げたい。

 

っていうのが俺の本音。

 

さらに悪いのは。

 

俺がチラッと横目で視線を送ったのは、道場の隅で怒りのオーラ丸出しで俺とO田くんを交互に睨む潤の存在。

 

ギャラリーはあいつ1人とはいえ、その存在感は半端ない。

 

「どうして潤を呼んじゃったんですか?」

 

正面に立つO田くんに小声で抗議した俺に、

 

「そんなの、面白いからに決まってる」

 

そう言ってニヤリと悪い笑顔を俺に向けたことで、これが彼が仕掛けた趣味の悪い悪戯であることが決定。

 

つまり、俺と潤を揶揄って遊ぼうってことなんだろう。

 

「神聖な道場をそんな邪な考えで使っていいんですか?」

 

なんて嫌味を一つ言ってみたところで、

 

「ん?俺が真面目にお前を叩きつぶせばいい話でしょ?格闘技の練習ってことで」

 

そんな風に言われて背中に悪寒が走った。

 

・・・O田くんに本気で来られたら再起不能間違いなし。