妄想小説です。BLの意味が分からない方&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

 

キスの隙間を見つけて息を吸おうと唇をパクパクさせる黒猫のそれを、呼吸ごと飲み込むような更に深いキスで塞いだ。

 

「っ・・・!」

 

次の瞬間には舌先に痛みを感じ、掴んだ髪のを背後に引いて強引にキスを中断させて睨んだ智を、

 

「ふっ・・・あ・・・息できな・・・っ・・・死ぬ・・・」

 

黒猫は大きく深呼吸をしてから、涙目で見つめる。

 

「・・・俺に仕掛けようなんて100年早い・・・つか、噛むな・・・猫じゃねーんだから」

 

「あんた・・・ね」

 

まだ肩で息をしている黒猫の顔をじっと見つめた智。

 

強い眼光に勝ち目がないことを悟ったらしき黒猫は、不安げな表情で智から視線を逸らした。

 

まるで、

 

・・・俺に抵抗する気はありません。

 

と、意思表示をしているかのようだ。

 

普通の人間であればパニックを起こしてもおかしくはない状況、けれど数々の修羅場を潜り抜けた経験を持つ上に、根っこの部分に天然的なものを隠し持つ智の反応は黒猫の予想すら覆すものだった。

 

上半身をゆっくりと起こすと、目の前にいる人物が纏った白いバスタオルの裾に手を伸ばして軽く捲って、

 

「後ろを・・・向け」

 

威厳に満ちた声で命令する。

 

その姿は、裏社会を牛耳るトップの姿に相応しい。

 

「・・・はい」

 

素直に背中を向けた黒猫は、少し恥ずかしそうな表情を浮かべつつ女豹のポーズをとって己を智の前に晒した。

 

そこにある白い魅惑的な双丘を確認した智は、

 

「悪くないじゃん・・・むしろ気に入った」

 

一言、そう呟いてから黒猫を解放し、何をするでもなく枕に後頭部を落として大きく背伸びをする。

 

「・・・あんた、驚かないんですか?」

 

呆れ顔で自分を見下ろす黒猫と思しき人物に、

 

「目の前にあるのが現実だ・・・そうだろ?」

 

首の後ろで手を組み、そう言って笑った智の様子に苦笑した黒猫は。

 

「・・・俺の名前はカズ、あんたに拾われた黒猫です」

 

そう言いながらハラリとバスタオルを落とすと、ベッドの上に上がって智の腹部に跨るようにして座った。

 

着衣越しに伝わった温かさに、

 

「マジで・・・夢じゃなさそうだし幽霊とかでもなさそうだな・・・?」

 

智がニヤリと笑うと、カズと名乗った黒猫が智のシャツのボタンを一つずつ外して行く。

 

こういう状況には慣れた智でも、カズの白くて滑らかで美しく・・・手触りの良さそうな肌から視線を外すことができない。

 

それでも、

 

「今は・・・いい、お前は俺が連れて帰る」

 

智はそう言ってカズの手の動きを制した。

 

「・・・でも」

 

「俺も致したいのは山々なんだが・・・な」

 

智は少し残念そうに笑うと、

 

「タイムアップだ」

 

呟くようにそう言った。

 

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