妄想小説です。BLの意味が分からない&不快に感じる方はブラウザバックでお願いします。
「・・・えっと・・・メシ・・・どうしたらいいんだろ」
猫缶・・・カリカリ?チュール・・・煮干し・・・ミルク・・・お前の好みはどれなんだ?
「あっ・・・!」
翔は小さく声を上げ、猫はその声にびっくりしたのかビクッと震えた。
「ごめん・・・驚かせるつもりじゃなかったんだ・・・困ったな・・・ミルクも煮干しも人間用はNGなんだよな。猫用の・・・今、ウチにねーんだよ」
猫缶はある・・・けど。
翔がブツブツ独り言を言っていると、
「お客さん、少し遠回りになるけれどこの時間でも開いてるホームセンターがありますよ?」
運転手が声をかけてくれた。
「あっ・・・じゃあ寄っていただけますか?」
「大丈夫ですよ・・・それから、猫を飼うならトイレとかも」
その説明を翔が遮り、
「実は・・・1年くらい前まで猫がいたんです・・・ウチ、ペットOKで」
そう説明する。
「じゃあ、トイレは」
「ええ、捨てられなくてまだ置いています・・・猫砂もストックがあるのですが、食事に関しては賞味期限が不安ですし」
「・・・ですねぇ・・・でも、それだけ揃っているのでしたら、とりあえずはコンビニで手に入る範囲のものでもいいのでは?」
「そうですね・・・今はコンビニにも猫缶とかカリカリ・・・ありますね・・・俺のマンションの近くのコンビニに置いているの・・・見たことあります」
翔はそう言って、また猫の頭を撫でた。
「その子、飼うんですか?」
「いえ・・・まずは飼い主探しをして、飼い主が現れなければ俺が引き取ってもいいかなとは思っています」
・・・仕事が忙しくて犬は無理だし、猫の方が留守番にも向いてますしね。
翔がそういうと猫は、
「にゃーん」
と、先ほどとは異なる甘い声で鳴いてからジッと翔を見つめた。
まるで「俺をこのまま飼って」とでも言いたげな視線に、
「・・・ダメだ・・・まずはお前の飼い主探しが先だ」
翔は首を横に振って、真面目な顔をして猫に話しかける。
「・・・にゃーん」
「ダメだ」
「・・・にゃーん」
「ダメ!」
「また、随分と懐かれてしまいましいたね」
運転手が苦笑すると、
「はは・・・動物に好かれるタイプなんですかね・・・俺って」
・・・几帳面過ぎて人間からはあまり好かれないのですが。
翔も苦笑で返した。
そう、彼女に振られた原因もここにあった。
翔は休日でも・・・いや、休日だからこそ分単位でスケジュールを組みたいタイプの男だ。
猫と暮らしていた頃には世話もあって幾分、その傾向はなりを潜めていたものの。
飼い猫を失ってそれが再発、結果、彼女から「細か過ぎてついていけない」と振られたのがことの顛末だった。