妄想小説です。ご注意ください。BLの意味が分からない方はブラウザバックでお願いします。
「ごめん・・・潤」
「どうして謝るの・・・?!しょおくんがいなくなったら俺、生きていけないんだからね!!」
潤はそう言って俺の腕を振り解いて勢いよく立ち上がると、そのままバスルームに入って、俺の耳には顔を洗っているみたいな水音が聞こえてきた。
「俺・・・最低」
ズルズルとその場に座り込んだ俺は、天井を見上げてそう呟くことしかできなかった。
*****
その日の潤は・・・絶好調だった。
俺から見れば無理をしているようにしか見えないんだけれど、パッと見はテンションが高くてご機嫌で仕事をしているように見えるのだろう。
・・・ヤバイ・・・かも。
潤と一緒に仕事をし始めてこんな風に拗れたのは初めての経験で、揺るぎないと思っていた潤との関係が足元から脆くも崩れ去るような感覚に背中に冷たい汗が転がるように感じて怖い。
心がゾワゾワして潤に集中できない俺とは裏腹に、潤はスタッフたちと上手にコミュニケーションをとりながら順調に仕事をこなして行った。
俺はN宮さんが最初に渡してくれた・・・あの手帳を鞄から取り出して手に取ってみる。
長らく触っていなかったその手帳は、元マネージャーであるN宮さんが丁寧に作ってくれた【松本潤の取り扱い説明書】だ。
俺と出会った頃の潤は、荒ぶる若馬とかじゃじゃ馬とかの表現がピッタリな。
荒削りで粗雑で横暴で態度も礼儀も言葉遣いもなってなくて、でもそれらが全て自己肯定感の低さからくる・・・己を守る為の潤の手段だった。
当時の潤は自分に自信がなくて、それを精一杯の虚勢を張ることで守っていたんだ。
N宮さんは早い段階でそれを察していて、自分が潤から離れなければならないと分かった段階で、次のマネージャーに引き継ぐべく潤のトリセツを作成してくれていたんだ。
それだけN宮さんの愛情の深さが・・・タレントとマネージャーとしてのね?
ビジネスパートナーとしての愛情が感じられるそれは潤を泣かせ、あっという間に鎧を脱がせて天然天使を完成させたんだ。
それをパラパラ捲っていると、
【体調管理に気を遣う人です。お水は常温にしてあげてください】とか【撮影前のルーティーン中は邪魔しないであげてください。ルーティーンを妨害されると拗ねてしまいます】
N宮さんの優しい文面が姿を現した。