妄想小説です。ご注意ください。BLの意味が分からない方はブラウザバックでお願いします。
「先生は俺のことを心配してお仕事にも行ってなくて・・・ジンさんが一緒にいてくれるなら大丈夫ですよね?」
「ええ、それはもちろん・・・いいですね、ジン?」
和がチラリと潤に視線を流すと、
「翔くんがよければ・・・その方向で」
と、決まり悪そうに呟いた。
「俺のことは翔って呼び捨てにしてください。ジンさんの方が年上っぽいから」
「・・・分かった・・・翔」
「ねぇ・・・翔ちゃん。前の生活のことは本当に全然思い出せないの・・・?」
「えと・・・雅紀さんでしたっけ?はい・・・考えれば考えるほど何も思い出せなくて・・・先生から考えないように言われるんですけど・・・つい」
「そっか、大変だな・・・翔くん」
「智さん・・・俺も早く記憶を取り戻して・・・家族や友人にも会えたらいいんだけど」
切なげな翔の言葉に、潤たちは複雑そうな表情で顔を見合わせることしかできなかった。
*****
潤に翔を預けて、和は智と雅紀を伴って港近くにある空き倉庫を訪れていた。
「・・・すごいチームワークですね?」
和は感心したように呟いて、早速にも倉庫の整理に勤しむ【J・キッド】の面々を見回した。
既に半分程度の不用品は搬出され、不備がある部分の修復に取りかかっているメンバーを頷きながら見つめた和は、
「これは思った以上に皆さん、器用ですね・・・需要、ありそうです。・・・それにしても智さん」
いそいそと紫色のジョリー・ロジャーを倉庫の入り口に掲げようとしている智に声をかけた。
「それ、自滅になりませんか・・・?」
「気持ち悪いから智でいいよ」
智は壁にかけた梯子に器用に登り、ジョリー・ロジャーの飾り付けを済ませてスルスルと降りてきた。