妄想小説です。ご注意ください。BLの意味が分からない方はブラウザバックでお願いします。
「・・・ちょっと待って」
クラクラとした眩暈を感じて、この状況をリセットすべく翔くんの左脇に右腕を通して抱き起こして、そのまま向かい合って正座をした。
日が傾き始めるであろう時間帯、室内の暗さが少しずつ増してはいるけれど、まだ目視で互いの表情の細かい部分まで確認できる。
何となく明かりを点ける気になれなくて、薄暗い室内でポツリポツリと会話を交わす。
「えっと・・・何か話がこんがらがっているって言うか・・・何処からどう解いて行けばいいのか」
「だって、潤は俺の気持ちに気が付いたから急に態度が変わったんじゃなかったの?」
「え?違うよ?!」
「じゃあ、どういうこと?」
真剣な眼差しで問われて一瞬言葉に詰まったけれど。
ここまで来て隠し事をしても意味がない。
「・・・俺が・・・その。翔くんのことを兄弟として見れなくなった・・・から」
「兄弟じゃない・・・?」
「・・・今みたいな関係を望む対象になって、怖くなって・・・それで」
「寮に入ったのは?俺のことが気持ち悪くて出て行ったんじゃないの?」
「・・・は?何でそうなるんだよ!」
「だってお前、急に視線を合わせてくれなくなるし、兄貴とか呼び出すし挨拶すら・・・あの日の前日、お前に勉強を教えた日・・・俺、お前が可愛くて我慢できなくてスキンシップ強めにしちゃったから、それでかなって」
「違っ・・・単純にあの時に俺・・・翔くんへの気持ちを自覚して・・・って言うか、どうして言ってくれなかったの?知ってたら、俺・・・寮になんか入らなかったし、あんな態度だって・・・」
「・・・言えるわけないだろ?少なくとも戸籍上は兄弟なんだぞ?!」
ブワッと涙を溢れさせた翔くんが愛おしくて、腕を引いて抱き締めると素直に身体を預けてくれた。