妄想小説です。ご注意ください。BLの意味が分からない方はブラウザバックでお願いします。
必要最小限の会話、その際も【兄貴】と呼びかけ、以前とは関係が違うんだと主張するように一線を引いた態度を貫いた。
その度、翔くんが悲しそうな表情をすることが辛かったけれど、両親は【潤にも本格的な反抗期が来たか】という感じで、特に干渉されることもなかった。
やがて俺は髪の毛を少し長くして、学ランも着崩して・・・正統派だった翔くんとは違う方向性をワザと見せつけて、付き合う友達も似たようなタイプを選んだ。
それでも、陸上だけは真面目に取り組み、インターハイでも上位の成績を叩き出す俺に周囲は苦言を呈すことは殆どなかった。
・・・身体を動かしていないと、頭が変になりそうだった。
欲してやまない相手が同性の上に、血縁関係がないとは言え戸籍上は兄弟であるという鬼畜さ加減は笑えない。
肉体を限界まで疲れさせて、家に帰って泥のように眠ること。
それが翔くんを己の魔の手から護ってやれる・・・唯一の方法だった。
やがて翔くんは教職を目指して都内の大学へと進学した。
そこから1年遅れて、俺も中等部を卒業。
幸いにも陸上強豪校からの声がかかり、俺は一も二もなくそれを受けた・・・とはいえ、スポーツ推薦枠は利用しなかった。
何らかの事情で退部とかになった時に不便が出るであろうことを考慮して、一般入試で受験して無事に合格した。
その高校は遠方にあり、寮があることが最大のポイントだった。
理由は一つ、翔くんから物理的に距離を取りたかった・・・その点だけだった。