妄想小説です。ご注意ください。BLの意味が分からない方はブラウザバックでお願いします。
定期的にデータを纏めて作るフォトブック・・・家族になって、約7年分の2人の記録は、俺にとっても宝物であることに間違いなかった。
けれど年齢を重ねるごとに写真の数は減った・・・最後の写真は、俺の中学校の卒業式。
その頃、本格的な反抗期を迎えていた俺は、訳あって翔くんと写真を撮らなくなった・・・写真どころか、まともな会話すらしなくなっていた。
そしてその写真は、半ば強引に母親から撮影された1枚、俺単独の写真だった。
そこから先の家族写真はないけれど、まあ妥当なラインなんじゃないかと思う。
家族でベタベタする時期なんて限定的、後は個々の生活がメインになるでしょ?
既に大学生だった翔くんは自宅からの通学だったけれど、その日も授業の関係で卒業式になんか来なかった。
と言うか、万が一【来る】と言っていたとしても全力で阻止していたと思う。
A4サイズのフォトブックには、各ページに写真が4枚ずつ、見開きで8枚レイアウトされていて、俺と翔くん・両親用で必ず4冊作成することが決まりだった。
写真の編集をしていたのは翔くん。
翔くんは家事関係は壊滅的だけど、勉強とかこういうことは器用にこなしていたっけ。
完璧な人間じゃないところが、俺は好きだったんだと改めて感じる。
その最初の1枚は、真新しい学ランの上のボタンを2個外して軽く着崩した翔くんと、紺色のジャケットとハーフパンツに同色のロングソックス姿の俺とが満開の櫻の木の下で並んで立つ写真。
翔くんと兄弟になって、初めて撮った写真。
緊張した面持ちの俺とは対照的に、穏やかな笑みを浮かべる翔くん。
場所は俺が通う予定の小学校の校門付近にある櫻の下だった。