妄想小説です。ご注意ください。BLの意味が分からない方はブラウザバックでお願いします。

 

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けれどここでは、己の意思では死ぬことすら許されない悲しい現実があった。

『それでは、こちらをご覧ください。【K -0617】、白い肌とヘーゼルカラーの瞳と黒髪、中性的な雰囲気を持つ22歳・♂、性格は大人しく従順、飼い主に逆らったという記載はありません。特A地区の娼館出身ではありますが、口 淫専門のためカラダはキレイなままです!では・・・1000万円からお願いします』

オークションマスターからの説明、これがボクの全てだった。

特A地区というのは、娼館の中でもエグいプレイが可能なことで有名な地区のこと。

こんな世界が、この地球上の何処かに存在している。

この事実を日本人の大部分は知る由もないのだろう。

ボクだって日本人のはずなんだけどね・・・?

この世界には二つの側面がある。

光と影、ポジとネガ。

そしてボクはずっと、影の方の世界で生きて来た。

ボクは自分が何処で生まれ、両親が誰なのかすら知らない。

働いているこの場所が東アジアの何処かであるということと、ボクの国籍が日本人であることだけはだけは聞かされていたけれど。

ボクの売主は、

「日本人の奴隷なんて滅多にいないのに可哀想なやつだ。が、お前は外見的にも口 淫のテクニックにも秀でている。いい主人に飼われるといいな?」

侮蔑的な笑みを浮かべてボクに声をかけた。

そう、ボクは今日、オークションで売られる性 奴隷。

・・・僕が知っているのは、ただそれだけ。

 

ボクたちの管理はとてもに厳重で、例えばAスポットからBスポットへの移動一つとっても、中から外が見えないように、外からも中が見えないように工夫された車が使用されていた。

車ごと目隠しされてるようなものだから、ボクは自分がいる場所の風景なんて見たことがない。

この日は日本人向けのオークションが開催されていて、だからマスターも日本語で案内をしているけれど。

先週、ボクがここに売り物として放り込まれた時に見た顧客は髪が金色だったり黒髪だったり色々で、日本語ではない言語で取引がなされていた。

ボクが今までいた店のボスは日本人、働いている多くの仲間も東洋人が多かった。

必要以上の会話なんて交わした経験はないし、外見だけでは自分と似た人種であることくらいの情報しか俺には分からない。

以前、娼館のボスから【お前の両親は日本人だ】と聞かされてはいたけれど、それを確認する術はなく定かではない。

ボクが物心ついた時には、既にたくさんの子どもが集められた孤児院のような場所にいた。

それは山の中にポツンとある施設だったと思う。

ボクが目にしたことがある風景は、空と山と森くらいしかない。

けれど、そこは普通の孤児院なんかじゃなかった。