妄想小説です。ご注意ください。BLの意味が分からない方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

 

田中さんご自身も、ご家族の方も決して悪い方ではなく、ただ今回は手順とやり方が【困ったな】っていう状況なだけで。

 

ちなみに、ご家族の方は既に転院先の病院で待機していて、支払いなどの事務処理は今日の午後から来院して行うみたい。

 

希子ちゃんが打ち終えた看護添書に目を通し、潤くんが書いたドクター添書、画像や検査データが入ったCD-R、お薬なんかを纏めて忘れ物がないように、何度も確認して準備を終えた頃。

 

「9:00到着で長野隊が来てくれるみたいよ。良かった、長野くんなら安心だわ」

 

電話を切った師長さんが、そう言って笑った。

 

「長野さん・・・?」

 

救急外来の当直を持ち回りで行っている師長や主任、先生たちは救急隊のメンバーと接する機会が多い。

 

曰く【頼りになるグループと普通のグループがある】そうで、今回は信頼できるメンバーみたい。

 

けれど・・・。

 

「長野隊ですか?上田と三宅がいる」

 

何故か潤くんがその名前を聞いて眉を顰めた。

 

そして翔さんは、そんな潤くんを気まずそうな顔をして横目で見ている。

 

え・・・何なんですか?

 

「くそっ・・・上田が来るのか」

 

潤くんは周囲には聞こえないくらいの小さな声で憎々し気に呟くと、翔さんをじっと見つめ、翔さんは困り顔でその視線に応えていた。