妄想小説です。ご注意ください。BLの意味が分からない方はブラウザバックでお願いします。
ハワイのライブの日程が近くなり、俺ら5人はリハや演出の打ち合わせで息をつく暇もないくらいに忙しい。
それにプラスして通常の収録もあるわけで。
5人で顔を合わせてはいても、それはあくまで仕事上でのことであって、プライベートではなく。
軽い大宮的なおふざけはあるものの、そんなものは焼け石に水。
ニノに飢えている俺にとっては、毒にしかならないんだから世も末だ。
あの日から随分と時間が経過した。
ニノ、俺の中ではお前の存在がどんどん大きくなって、代替えがきかない唯一無二の存在なのだと嫌でも自覚させられる。
いつでも一緒にいたい。いつでも体温・ニオイ・・・お前の全てを感じていたい。
俺がそう言ったら、お前は困った顔をするんだろうか。
それとも「ふざけんなよ」ってプイとソッポを向かれちまうのかな。
真っ白なキャンバスの前で床に座り込んだまま、手元にあったスケッチブックと鉛筆を手に取り、描くともなしにデッサンを始める。
自由に動く指に任せたまま描き・・・スケブに徐々に形を現した人物の顔は・・・ニノの可愛い笑顔だった・・・マジかよ。
「重症だな・・・」
俺は大きな溜息を一つ吐くと、自身の手で生み出したニノの唇を右手の親指で軽くなぞった。
我ながら嫌になるほどそっくりに描かれたそれ。
しかしながらいくら精密に描いたところで、その部分には温かさも柔らかさもない、ただの紙切れの手触りしかなくて。
それでも、そこに存在しているニノに心惑わされる俺は。
その唇にキスをして・・・ノロノロと寝室へと向かった。