久留米・武雄市 産業建設委員会 行政視察報告書 | 二宮ひとし「尾道に夢を集めて」

久留米・武雄市 産業建設委員会 行政視察報告書

久留米・武雄市 産業建設委員会 行政視察報告書

尾道市議会産業建設委員会委員  二宮 仁


1、視察期間
平成24年1月23日から平成24年1月24日まで 2日間


2、視察都市及び視察先
(1) 福岡県久留米市 久留米市議会
(2) 佐賀県県武雄市 武雄市議会


3、視察事項
(1)B級グルメの聖地(まち)久留米事業について
(2)武雄市のイノシシ駆除と特産品化事業について
楼門朝市事業について

4、久留米市
久留米市は人口約30万人。地下足袋生産を端に発してゴム工業が発展、ブリヂストン発祥地であり、ブリヂストン、ムーンスター、アサヒコーポレーションなどの工場がある。特産品の久留米絣も有名。焼き鳥店の数は人口1万人に約8件と日本一。豚骨ラーメン(久留米ラーメン)の発祥地でもあり、平成18年の第1回B―1グランプリin八戸に久留米やきとりで参加、B級グルメをまちづくりに導入している。


二宮ひとし「尾道に夢を集めて」


(1)B級グルメの聖地(まち)久留米事業について
B級グルメが大ブームとなる前の第1回B―1グランプリから参加し、まちづくりに取り込んでいる。平成20年9月には「B級グルメの聖地(まち)宣言」
を行って、ラーメン、焼き鳥、筑後うどんを三大B級グルメとして全国に食文化の発信に努め、同年11月には第3回B―1グランプリを久留米市で開催、2日間で20万3千人の来場者を集めた。さらに単年度で終わらせず、九州B―1グランプリを創設して翌年もグルメイベントを開催、その翌年は九州新幹線久留米駅開業を記念した「久留米で満喫 食の巡礼2011」を企画したが、このイベントは東日本大震災直後のため延期、今年3月24、25日に「九州B―1フェスタin久留米2012」として盛大に開催される予定となっている。また第5回全国やきとリンピックin久留米を平成23年秋に開催(愛媛県今治市も参加)している。市内飲食店の活性化のために「くるめ食の八十八カ所巡礼の旅」を創設、ラーメン、うどん、お好み焼き、丼など市内の飲食店88店舗が参加するスタンプラリーをイベントして実施。10軒制覇、50軒制覇、88軒制覇と段階ごとにプレミアムな賞品を提供しており、盛況とのこと。九州新幹線全線開通に照準を合わせて計画的、継続的に実施してきた事業であり、これまでは予算がつきやすかったが、今後の継続には予算の課題がある。平成20年度のB級グルメの聖地(まち)久留米事業の予算は2,580万円だった。グルメを核にした地域振興は高い評価を受けており、平成21年度地域づくり総務大臣表彰も受賞している。
またB級グルメとは別に、平成20年から市内で体験できる観光的、生涯学習的、子どもの教育的なワークショップを観光プログラム化、デザインも優れた冊子「久留米まち旅博覧会」にまとめて紹介、市内のほか福岡市でも3万部を配布するほか、魅力いっぱいで利便性の高いホームページも開設、年間を通じて参加者を募集する事業を行っている。第6回の2011.10.1-11.30版掲載の81プログラムすべてを完売する盛況ぶりとなっている。尾道市にも取り入れたい手法が多かった。


5、武雄市
武雄市は「がばいばあちゃん」でも有名な温泉地。温泉入口にはシンボリックな建築物「楼門」がある。山、川のある盆地を持つ肥沃な穀倉地帯。人口約5万1千人。市長は平成18年4月に全国最年少市長として就任した樋渡啓祐氏(東京大学経済学部卒、元内閣参事官補佐)。佐賀のがばいばあちゃん課、お結び課、わたしたちの新幹線課、いのしし課、がん検診率向上課、食育課楽しい食卓係などユニークなネーミングとともに市民目線の施策の実行で全国的に有名な自治体となっている。中途採用制度を持ち、都市部で民間勤務を経験した人など30代、40代の採用者を積極的に採用、職員390人のうち17人が中途採用者で新規事業等の活性化に生かしている。市のホームページをフェイスブック化し、1500万アクセスと以前の60倍になった。


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(1)有害鳥獣・イノシシの駆除と特産品化について
10年ほど前からイノシシ被害が増え続け、対策が急務となったことから捕獲したイノシシ肉を買い上げる食肉加工施設を市が出資する株式会社の運営として平成21年4月に設置、年間300頭の処理能力を持つ。猟友会などのやる気を上げ、肉等のブランド化による産業振興、観光振興、武雄の知名度アップなどを目指した取り組みを積極的に実施している。いのしし課を設置、食肉加工センター、地元商工会議所、まちづくり団体と連携して、武雄産イノシシ肉の商品化、加工品の共同開発、販路開拓などに努めている。具体的には民間企業の協力を求め、イノシシ肉を使ったソーセージ、ジャーキー、レトルトカレーを商品化、道の駅などで販売している。また肉試食会を都市圏のイベントに合わせて実施している。しかし地元でイノシシ肉を食べる習慣がないことなどから外部への販売に頼る状況で、安定的に買い取る施設の確保が難しい、精肉が高いなどの問題を持ち、食肉加工センターの売り上げは初年度900万円、22年度600万円、今23年度600万円前後の見込みと低迷(目標1,000万円)、普及、PRが喫緊の課題となっている。被害対策には箱ワナ捕獲の支援、いのししパトロール隊による定期パトロールを実施、市民からの通報等に素早く対応して住民に安心感を提供している。イノシシ肉のブランド化は地元消費の拡大など取り組みを始める前の準備が重要と思われた。先進地の事例として大いに参考になる取り組みだった。


(2)楼門朝市について
平成19年度から樋渡市長の肝いりで始まった。1300年の伝統を持つ武雄温泉のシンボル楼門を望む通りで、採れたての新鮮野菜や果物、漬物、パンなどの加工品を販売している。第1回は4軒の出店で来場者が市関係者の知り合いばかりといった中で始まり、回を重ねた最近の出店者は30~40軒に定着、午前7時から9時半ごろまでの開催時間に約1,000人の人出があり、一定のにぎわいを創出するまでに成長した。しかし最近は来場者の伸び悩み、新たな課題に直面している。朝市の運営は実行委員会。各出店者の自己申告に基づき売り上げの5%を運営資金として実行委員会に入れている。21年度の朝市の売り上げは約1,500万円だったとのこと。民間活力で、できる範囲で無理なく実行、継続する大切さを感じた。道路利用など行政がかかわらないと実行できない面も多々あり、協働のまちづくりの必要性を感じた。