妄想です。
お付き合いよろしくお願いいたします。


アネモネ~記憶#41



N



聞きたいことは
たくさんあったけど



もう、目を瞑ってしまったから



黙って僕も目を瞑った




心地のいい揺れと、




時折り触れる
左側からの体温





すると





すぅ



すぅ



すぅ




へ?



え?



もしかして、寝てる?




右側に曲がる緩やかなカーブとともに




体ごと
僕に寄りかかり




そのまま




眠ってる、、、、





僕の左耳に





この人の髪の毛が




ふわふわと揺れて
ちょっと擽ったい




なんか




この重みも、
懐かしい




気がする




多分


いや絶対知ってる人なんだけど



知らないのが申し訳なくなってきて



知らないって
わかんないって


分かってくれてるのかな




寝てるはずなのに




僕の左手の上に


右手を重ねて


当たり前のように



軽く




握られる





指と




指が




交互に重なって




とくん




とくん





とくん





こんなにあったかいのに、





なんで





なんで、





わかんないんだろう





涙を堪えながら





どこに着くのか分からない
タクシーから





外を眺めてた