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yellow side



俺達は時間を気にしてログハウスに戻った。

入り口の辺りで既に良い香りが漂ってくる。


ヨコ、華ちゃんといい感じだったなぁ。

帰るまでに二人がいい関係なんかになったりしないかな。


俺はそんな思いで、つい顔が緩んでしまう。


「ただいまぁ〜!」

『ただいまぁ〜』

まーくんと俺が挨拶しながら中に入ると、リビングのソファーで並んで座るヨコと華ちゃんが笑顔でお帰りを返してくれた。

これはマジでひょっとしてひょっとするよね!


「早かったなぁ、あの二人はまだやで」

ヨコの言葉に俺はポリポリと口元を指でかいてしまう。

まーくんは引き攣った笑顔でそうなんだぁ、なんて白々しい返事をしてる。


完全に岩場でヤッてたからすぐには帰れないだろうねとは言えない。


何だか妙な沈黙に、鋭いヨコは気付いたような顔で、頭を掻いている。


「カ、カレー見てもいい?」

俺はキッチンを指さす。

二人がうんと頷いて、

「上手く出来ましたよね!」

「あったりまえやぁ!俺と華ちゃんの初めての共同作業やからな!大成功っ!」

「ウフフ、ハイっ!」


いいじゃん いいじゃん!

ラブラブじゃん!

ヨコ頑張れ〜!


心の中で応援しながら、カレーの鍋の蓋を開けた。

中から食欲をそそる香りがふわっと鼻を掠める。

同じように鍋を覗きに来たまーくんも鼻をクンクンさせニッコリ笑った。

『わぁっ!うっまそー』

「せやろー?隠し味が入っとるからな!」

「ええー隠し味?何何?」

「それは内緒〜!なぁ〜華ちゃんっ!」

「内緒です!」


うわぁ、もうバカップルじゃん!

デキてんじゃん!


まーくんを見上げると、俺と同じ事を考えてるのが良く分かる顔で頷いた。


そして何故だかびしょ濡れの二人がご帰還。


コイツら証拠隠滅海で綺麗にしてきやがったなぁ〜


俺はヒクっと引き攣った頰を撫でてダイニングテーブルにスプーンを並べた。