18
雪乃と食事を済ませて、ダラダラと過ごす。
ソファーに座る雪乃の膝枕でTVを観ていた。
昔観た超大ヒット映画で、展開は知っているのに、何となくドキドキして夢中になっていた。
そうしたら、雪乃が俺の髪を撫でながら
「圭介さん…睫毛長いね…鼻筋がシュッてしてて…カッコイイ」
と呟いた。
夢中になっていたはずの映画から簡単に気が逸れる。
下から雪乃の頰を両手で包んで引き寄せた。
近くまで来て、俺は呟く。
『雪乃…朝、寂しかったの?』
メモにあった言葉…
"圭介さんに会いたかった。"を思い出す。
「寂しかったよ。…会いたかったんだ。圭介さんに」
『俺もだよ…雪乃に会えなくて寂しかった。明日は休みだから…前に話してた花瓶…見に行こう』
雪乃はふわっと笑って、頷いた。
「嬉しい!久しぶりに出掛けるね」
『そうだね…年末年始はまだ暫くバタついて悲惨かも』
「また燕さんと飲みに行ってもいい?」
『飲み過ぎんなよ、雪乃弱いくせに沢山飲むから』
「気をつけるよ。…でも、嬉しいなぁ…これであの花が買える」
雪乃は古い映画が流れるTV画面をぼんやり眺めながら呟いた。
花を飾る
雪乃が花を飾りたがる
それは
少しの整理か
少しの勇気か
庵司を
弔う気に
…なったからなのかな