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カランカラン

アンティークのドアベルが鳴り響く。

夜中で雨なせいか、音が大きく聞こえた。


「相葉さん?相葉さん」

俺は静かな店内に呼びかける。

厨房も電気が付いてないせいか、ダウンライトだけの店内はいつもより暗かった。

『ニノこっち』

一番奥のいつもの席から相葉さんが立ち上がった。

耳にかけた髪クシャっと微笑む顔いつもと変わらないような気がしていた。

俺はゆっくり近づいて、促されるままに席についた。

「あの

『嫌だったんだ』

「え?」

『お金で買ったニノは嫌だったんだ。ちゃんと、いつものニノで居る時に伝えたくて』


俺は相葉さんを見上げた。相葉さんも俺を見つめる。

『俺ニノが好きだ。』

「ぁえっと

俺はオロオロしていた。

『突然ごめん』

「ああの

いつものように言葉が出なかった。どもる俺はいつの間にかポタポタ大粒の涙をテーブルに落とす。

感情が氾濫を起こして、それを目の当たりにしている俺はパンク寸前だった。

こんな事は知らない。

こんな感情は知らない。

「だめだ

俺は膝の上で拳を握りしめた。

『ニノ?』

「俺じゃダメだよ

俺はグッと目を閉じた。


俺は犯罪者だ。

この人に

相応しいわけない。


『俺じゃダメってかな

相葉さんが悲しそうな声を出す。

俺は一瞬机に手をついてガタンッと前のめりになった。

開いた口がパクパクして苦しい。

『ニノ

「相葉さんが相葉さんがダメなんじゃない俺が俺がダメなんだよあなたに相応しく無い

『どうして?!意味分かんないよ』

相葉さんは席を立った。俺に近づいて、肩を掴んで抱き寄せられる。

俺はその首筋に顔を埋めた。


あぁ愛おしい。愛おしい

このまま感じた事のない感情の波にさらわれたい。我慢が効かない。この人の全部に流されたい。

ぎゅっと肩に掴まった。

相葉さんが顔を寄せて、唇を重ねる。

啄むように触れて、重なり、深く舌が差し込まれ、ゾクゾクするような幸福がまるで恐怖を感じるように駆け巡った。

「ハァ

クチュクチュピチャ


離したくなくて、相葉さんの服をキツく掴む。貪りあうような口づけは止まらない。


好きだどうしたらいい?

好き!

相葉さんっ!

相葉さんが好きだよっ


「ハァッダメだとまんないっ

相葉さんが急に俺を抱き上げた。

横抱きにされたまま厨房の奥に連れて行かれる。

一番奥の休憩室のような部屋に、シングルのパイプベッドが置かれていた。

恐らく仮眠用のベッドなんだろう。

そこに下されて上から相葉さんが覆い被さった。

口づけは首筋に移動して、俺のシャツを脱がす。

痣だらけの身体を見て

『何だよこんなにしやがって

ギリっと唇を噛みしめると、手の平で撫でながら痣に唇を寄せる。

「はぁっんっっ!相葉っさんっ!やめっ!」

『どうして?やめないやめないよ


優しく辿る唇に俺は感じていた。

それがどんなに恐怖を感じたことか言葉にならない。

痛くないと反応しない下半身が恐ろしいまでに満たされながら膨らんでいく。


怖かった。


『震えてる

「ハァッハァ相葉さん好き好きだよ

相葉さんは目を細めて、俺の涙を拭った。

長い指が頰に触れ、前髪を撫で上げる。

あらわになった額に口づけ、鼻先にキスをして唇が重なり合う。

俺は相葉さんの首に


腕を絡めた。