「ん…んぅ〜ぅゔ…」
『起きな〜。ニノ。朝ごはん出来てるよ』
「今…何時?」
『8時だよ』
俺はバタッともう一度ベッドに倒れこんだ。
「早いよぉ〜…早いぃ…」
『早くないよ!起きて!ねぇ!スーツとかの方がいい?』
「良いよぉ…普段着でぇ。」
相葉さんはハツラツとした勢いでシーツを俺から奪う。
耳元で囁かれて、飛び起きた。
『ニノちゃん激しかったからシーツ洗わせてね』
なんて!!
「あっ!相葉さんっ!!」
『クフフ、ニノ怖いよぉ〜!早くおいで。ご飯ご飯!』
「俺は犬かよ!」
『まぁ、潤くんからすれば犬なんじゃない?ワンコ、ワンコ呼んでるし、フフ』
俺は脱力してペタペタフローリングを歩いた。
リビングのローテーブルに分厚いトーストとスクランブルエッグ。サラダとヨーグルト。
『両親には連絡ついてる?』
相葉さんはソファーの隣に座って頬杖つく。
トーストにかぶりついたばかりの俺はゆっくり頷いた。
『ふふ…やっぱ犬っぽい。』
「ゔー!」
『はいはい、早く食べてね。洗濯干したら出るよ』
相葉さんは窓を開けてグンと背伸びをした。
ラフな部屋着のパーカーに手を掛けて言う。
『マジで、何着て行ったらいいかな?第一印象が大事だし!』
俺はソファーの背もたれに頬杖ついて返す。
「なんだって良いよぉ…。相葉さんはちゃんとしてるし、父さんも母さんと一緒で、バンドには賛成してる人だから。」
相葉さんがゆっくり近づいてソファーの背もたれに手をつく。
ゆっくり屈んで俺と目を合わすと、コツンと額を合わせた。
『結婚させてくださいって…言いに行く気分だよ。』
「…バカじゃないの」
『ふふ…よく言われる』
俺はソッとキスをする。
「相葉さん…もしさ…父さんがダメって言ったら?!そしたら…どうすんの?」
『そうだねぇ…もし、そうなったら、ちゃんと高校卒業したら、ここへおいで。絶対迎えに行くから。…ね?』
どこまでだって好きにさせる。
もうとっくに溺れてるはずなのに、この大きな優しさにがんじがらめにされて…
俺は深海にでも沈むんじゃないだろうか…。