Nino's  story


まーくんがバタバタ帰って、母さんが帰宅して、暫くしてチャイムが鳴った


インターホンを出て話す母さんの声が遠く聞こえる

宅配かな…


トントントン


階段を上がってくる音がした  

俺の部屋がノックされる


入って来たのは



櫻井先生



後ろに母さんの姿

「先生わざわざありがとうございます!ゆっくりしていってくださいね!」

『すみません、突然押しかけて…二宮くんが心配で』


「まぁ!嬉しいわぁ、カズ、先生お見舞いに来てくれたから、ねっ」


母さんは学校1イケメン教師にまんまと騙されて


息子を売ったことに気付いちゃいない


母さんが階段を降りていく


「良く来れたね」

冷たく言い放つ


『俺はデータを返したよ』

約束通り何度となく抱いた後、写真のデータは返された。

「今度は何?俺とヤッてるのを隠し撮りでもしてた?」

『…しておけば良かったかな。具合良かったし。身体だけなら相性バツグンだと思うけど?』

「何しにきたの?」

俺は眉間に皺を寄せて訝しんだ


『担任として見舞いだよ?今日二宮くんはお熱でお休みだったからね』


「性格イイね。友達居る?」

『アハハ…居ても居なくてもいいだろ?それより、相葉…今日来たのか?』

「何で?」

『アイツ今日保健室で寝てたみたいだからさ、智くんは寝不足って言ってたよ。お前の事、心配してたんじゃない?あ、…来たんだな…相葉』


先生が一人で納得してる

おれの襟元に目をやりながら、

ニヤニヤした顔をして、顎を指で撫でながらふぅ~んと片方の口角を釣り上げる


「何言ってるわけ?!何でまーく…相葉さんが来たって分かんだよ!」


櫻井先生はトントンと長い指で自分の鎖骨の上を突いた


『お前、ここに俺が付けたの…気付かなかった?何回もイカせたから意識朦朧だったもんな』

自分の身体が赤くなるのを感じる


そして言われた事をようやく理解して部屋にあった鏡で自分の鎖骨付近を見た


さっきまーくんに痛いくらい吸い付かれてしっかり赤く跡が付いてる


…まさか


さっきまーくんが


慌てて目を瞑ってた

俺の話を聞かないで

突然帰ると言って…


でも、辛そうな顔で俺を押し倒したかと思ったら

噛み付かれたのかと思うほど痛くて



痛くてまーくんを突き飛ばした



乾いた笑いのまーくん

跡、付いちゃったねって


櫻井先生の付けた後を


黙って消したの?


俺が何も言わないから…

ねぇ!どうして!!

どうして責めないの?!

どうしてだよ!!

「うっ…くっ…ヒック…まぁ…くん」


嗚咽が漏れた


『二宮….帰るわぁ~。相葉のやつ、なかなかやるな、面白いよ』


櫻井先生の声を聞いても何も言えないまま泣いた

どんなにか怒鳴りつけたい衝動もあったけど、正直頭の中はそれどころじゃなかった


先生が姿を消しても

どうしても泣きやめなかった

まーくんは知ってるんだ


俺が昨日、誰かに抱かれていたんだって


軽い眩暈を覚えてベッドに倒れこんだ

まーくん    ごめんなさい