仕事のお客さんから
セカンドオピニオンで検査をする事になって
県外へ出かけてくるから飼い猫の面倒を見てほしいと
数日留守を頼まれた。
2-3日で帰ってくる予定の話だったけど
検査は何日もかかり
結局17日間の留守となった。
帰宅された翌日
家に来てほしいと呼ばれたので
行ってお話をうかがうと
検査の結果、がんが見つかったそう
私はあるときから
がんにり患した方のブログを
たくさん読み漁るようになった。
キッカケは何だったのか思い出せないけど
なぜか「人の死」について興味がわくようになり
私もいつかがんにり患するかもしれないと
頭のどこかで思うようになった。
亡くなっていく方、快方に向かっていく方
治療のしかた、薬の種類などなど
はじめて知ることがたくさんあった。
どんどん がん が私の身近になっていく。
そんな中のお知らせだった。
がんと知らされ
え…、と言葉は詰まったけど
本人はあっけらかんと話す。
ステージはどのくらいなのか?
これから入院加療で留守にすることが増えるのか?
猫ちゃんはどうするのか?
話を聞きながら私の頭の中は色んなことを考えていた。
話をしていく中で
残された時間をね…というワードが出てきた。
残された時間?
もしかして余命宣告されたんですか?
そう聞くと
そうなのよ!
私が聞いたわけじゃないんだけど
息子が先生にどのくらい生きられるか聞いたら
3年って言われたの。
え…
そこで私は胸を締め付けられる感覚になった。
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お客様、73歳。一人暮らし。
県外に一人息子さんがおり
結婚して子供4人、最近家を建てたそう。
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いつか息子のお世話になると思うから
家を建てるとき私もお金を出したの。
まぁ体が動かなくなるずっと先のことだと思うけど
そんな話を笑いながらついこの前していたばかりだった。
それでね、これから通院や入院をしながら
治療をしていくことになったんだけど
これがいいキッカケかなと思って
息子のところに引っ越すことにしたの。
今は息子さんが住むところから
電車で1時間、飛行機に乗り継いでさらに2時間の場所。
それでご相談なんだけど…
私はお客さまが何を言おうとしているか
瞬時にわかった。
猫ちゃんを引き取ってもらえないかな…
ですよね………
私は動物取扱業だ。
しかし、所謂 引き取り は行っていない。
だが近年、この手の相談が多くなってきていた。
そのうち老猫ホームができたらいいな。
なんて思っていたけど、考えているばかりでなく
現実的に考えていかなければならなくなってきている。
でもまだ準備は何もできていない…。
差し迫って困っている方が目の前にいるが
田舎なので受け入れる施設や業者はゼロだ。
都会は受け皿があるのだろう。
飼い主が施設を選べるほどあるのだろう。
田舎の現実は唯一ひとつだけある愛護団体に
説明して…泣きついて…
それでも受け入れてもらえない事も多々ある。
動物愛護団体もキャパオーバーで
2つ返事では受け入れられない状況になっているからだ。
動物愛護団体さんとは繋がりがある。
私もお手伝いできることがあればボランティアで
参加する事があるのでそれなりに繋がっている。
それだからキャパオーバーを知っているだけに
こちらからお願いしてみたら?なんて
無責任なことは言えない。
ならば引き受けるしかないのか???
引越されるまで1ヵ月。
ゆっくり里親さんを探している時間はない。
悩みに悩んだ。。。
我が家には3匹愛猫がいる。
個人的に負傷した子や命に危険があると判断した子を
保護して飼っている。
3匹が4匹になるだけだ…
まぁいっか。
いや、違う。
これから同じような相談を受けたとき
私はこの人は良くて、この人はダメなんて
線引きは絶対できない。
ならば同じ条件で引き取らなければダメなんじゃないか?
そう思った。
条件…
それはお金だ。
もうこれに尽きると思った。
飼育するにはフード代、トイレ用品代、病院代
細かく言えば電気代、水道代…
本当なら飼い主がこれから払っていくものだ。
タダでは飼えない。
自分が飼いたいと里親になるのとはわけが違う。
引き取る=代償が必要。
長くなったけど、何が言いたいかというと
ひとり暮らしの方、ご年配の方、
近年ペットを飼っている方が多くなった。
人間もペットも長生きする時代。
自分自身に何かあった時
残されるペットの事を考えているだろうか?
誰に引き渡すか
誰に後を見てもらうか
そしてその時の為にペットに使ってもらう
お金の事まで考えているだろうか?
ペットは物ではないのだから
もしもに備えておいてほしいと
とにかく声を大にして言いたい。
弱みに漬け込んで詐欺をする引き取り業者がいると聞く。
そんな輩に大切な家族を渡さないよう
事前に面接や施設の見学などさせてもらえて
真摯に向き合ってくれる所を探してほしい。
私は早速
飼育放棄の誓約書について調べ
そして引き取りにどのくらいのお金が必要か調べ
書類を作った。
こんな書類を突きつけられて
どんな反応をされるだろう…
やっぱりいいです。
誰か引き取ってもらえないか聞いてみる。
最悪の場合、保健所へ連れていく
と言われるかもしれない。
それが一番辛い言葉だ。
でも田舎ではよく聞く言葉でもある。
(ほんと頭にくる)
どんな話になるのか…
ありとあらゆることを想定して
今日話に行ってくる。