本屋の匂い。 | まだ見ぬ始まりの先へ。

本屋の匂い。




今日は空いた時間があったので、

何年ぶりだろ?本屋に入った。


入った瞬間、懐かしい本屋の匂い。

あー本屋ってこの匂いだった。


昔は毎日来てたのに、

いつからか本も読まなくなって。


あんなに本好きで、家にも本がいっぱいで。

今はお気に入りの本一冊だけ残して

何年か前は何個もあった大きい本棚も処分して

…人って変わるもんだな。


久しぶりに本屋に行って

本を手にとって、久しぶりの感覚を思い出して

あんなに毎日当たり前にしてたことを

こんなにも懐かしく思い出すなんて。


私から本取り上げたらなにもないって

あの頃は思ってたのになぁ。


それに執着していたのかもしれない。

自分の自信の無さからだったのかもしれない。


いつでも自分探しをしていた。

自分はこういうものだという確信が欲しくて

なにかしらに当てはめて安心したくて。


もうそんな必要性もなくなって、

自分の外に探すこともなくなって。


私が本に求め続けていたことは

自分探しだったんだなぁと今なら解る。


今日手にとった本は

旅行と料理だった。


昔ならもっと自己啓発だとか

難しい専門書の本棚の前にいたのにな。


今、私が執着しているのは「食」です。

それしかない。笑

今は苦しみから本を手にとることは無くなった。
楽しむために本を手にとれるようになった。


人は日々少しずつ変化していくものです。
気付かぬうちに、変化しているものです。

懐かしめることがあるということ。
懐かしいと思えている今があるということ。

過去があって、今があって、未来がある。

この時間の経過の中で
あとどれくらいのことに気付けるだろう。

五感の記憶はすごいと思う。
自分の記憶なんかより
何倍も昔のことを記憶していて
思い出させてくれる。

この体は私の記憶力より
遥かに優秀です。笑

まさか本屋の匂いで
こんなに感激することがあるとは。

些細なことなのだけれども
なにか大きなことに気付けたようで。

そのことに執着しなくなったからこそ
その外側から観ることができるということ。

そこにいなくなったから
そこを懐かしく思えるということ。

それが変化で、無常ということなのかな。