今回読んだ本はこちらウインク

 


 

 

 

あらすじ目

主人公の芦沢理帆子は,県内の名門進学校に通う高校2年生。

子どものころから本を読むのが好きだったのだが,

実は一番好きな本は漫画の「ドラえもんドラえもん

  



ドラえもん」の作者 藤子・F・不二雄 を深く愛する写真家,

芦沢光を父にもつ理帆子。




父の影響を多分に受けている理帆子は,父が藤子・F・不二雄

「藤子先生」と呼び尊敬していたのと同じように,

自身もそのように呼ぶ。




理帆子は藤子先生の創るSFの世界,「少し・不思議」から

SFという言葉を気に入り,自分の周りの人物にSFの

イニシャルをつけている。




例えば,病床の母は「少し・不幸」,元カレの司法浪人生は

「少し・不自由」,自由に生きる友達の美也は「少し・フリー」,

相手に合わせて個性をなくしてしまう自分の性格は

「少し・不在」など…




父,芦沢光は,写真家として有名だったが, 5年前に突然失踪してしまう。

病床の母を見舞い,卒なく学校生活を送る理帆子だったが,

ある日,新聞部所属の別所あきらと出会う。

「少し・不在」な理帆子だったが,別所に対しては何でも話せることに

気づき,少しずつ心を開いていく。




そこから少しずつ展開していく青春ストーリー。




にんじんの感想目

本屋大賞,直木賞などを受賞している辻村深月さんの作品。

すでに「ツナグ」を読んでしまったのですが,

辻村作品は各話が相関しているようで,

この作品を始めに読んだほうがいいという情報があり,

今回買ってみましたニコニコ




ドラえもんの道具が章題となっているこの物語。

「どこでもドア」から始まり,「カワイソメダル」「もしもボックス」

と続いていきます。




国民的人気漫画「ドラえもん」。

そのストーリーを思い出し,懐かしみながら読めるのが

この作品の魅力の一つです。




主人公の理帆子は,少し尖っています。

Amazonのレビューでは,酷評が目立ちますが,

彼女に共感しようと思うと,この物語は楽しめないかもしれません。




解説で瀬名秀明氏が「共感」(シンパシー)と

「感情移入」(エンパシー)の違いを使って説明しています。

(一部引用します)




「共感」は相手とひとつの感情になる状態のこと。

物語の中で,主人公が泣けば自分も泣き,

主人公が怒れば自分も怒る。

これが「共感」です。




対して「感情移入」はもう少し高度な情動です。

自分とは立場や考え方の違う相手であっても,

その人の気持ちを忖度して歓び,悲しみ,胸を痛める。

そういう成熟した能動的な力が「感情移入」です。




この本を楽しめるかどうかは,「共感」ではなく,

「感情移入」できるかにかかっている気がします。

理帆子の感情に「共感」できる人は少ないと思いますが,

「感情移入」できれば,ストーリーが進むにつれて,

一気に読むことができます。




読後感はスッキリしたものがあり,また読みたいと思える作品です。

興味のある方はぜひどうぞビックリマーク




次は,「スロウハイツの神様」を読もうと思います。

辻村ワールドの相関関係がどうなっているのか,

これから楽しみです爆  笑




 

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