カワサキとしては初の750 専用設計のモデルとなる。Z1 →Z2 、GPZ900 R→750Rとスケールダウンであったり、Z650 →Z750 FX−IIのスケールアップなりと、カワサキ・ナナハンには印象を高める上での狙いもあった。しかし、実際のところ、国内市場には750cc が安定したビッグマーケットとなる要素は少なく、敢えてコスト面での冒険は出来なかったのだろう。カワサキが、こうした背景をわきまえながらもGPXに専用設計を図ってきたのは、TT−F1 に強力なバックアップを望む声に同調させたものとも思われる。1983年を最期に世界選手権から撤退。グリーンモンスターの雄姿を懐かしむ声は日増しに高まっていた。1984年のGPZ750Rの発売を期に、750cc を上限とする新レギュレーションに適合させたマシン造りも行っている。が、その雄姿は遂に見ることが出来ずにいた。そして撤退から 4年振りの1987年、遂にカワサキの復活を果たしたのはGPX750RをベースにしたワークスチューンのZXR−7 だった。GPX750 Rは、その専用設計の優位さを突き詰める上で、徹底した改良が図られていた。パワーユニットに関しては、
軽量・コンパクトを前提に行われ、GPZに対し〔クランク部外寸全幅:451 →420mm 、ピストン全高:61.7→50.0mm、ピストンプン:φ18×_ニ57.2・60g →φ17×_ニ53.0・53g 、コンロッド軸間距離:114.2 →107.0mm 、バルブ傘径:IN.φ28→φ26.5・EX.φ23→φ22.5、バルブステム径:φ5.5 →φ5 、カム軸距離:142 →93mm、ピストン重量:195 →165g〕大々的な改良となった。優に14,500rpm を正確に動作する動弁機構は、オーバーレブリミットの設定を12,200rpm とし、レッドゾーン開始の11,000rpm に対しても十分な余裕を持たせている。とにかくパワーユ
ニットに関しては、レース対応を踏まえた上での改良と伺えるポイントが見受けられる。だが、ことフレームとなるとまるで方向性が異なる。TT−F1 では、パワーユニット以外の部分での改造は大幅に認められており、量産モデルにはスチール製で十分と判断された。技術研究所で開発されたフレーム強度・剛性解析システム(CAET)を駆使し、理想的といえる卵型形状に近いパイプワークで仕上げている。パワーユニットや車体の軽量化は、実にGPZ−Rに較べ30kg以上と言う
驚異的なレベルだ。レーサーレプリカにはない、フレキシブルな走行性能を持ったモデル。今一度改めて実感すると、新たな感動をもたらしてくれるはずだ。

