CB900F RSC
1980年を前後して、F-1 クラスの4 サイクルには、排気量の上限が1,000cc までとされていた。このため、車種構成はバラエティーに富み、CB-Fだけをとっても750cc ベース、900cc ベース、更にはCB1100R ベースまでもがレーシングモデルとして存在していた。
ここに紹介するレーサーは、CB900Fをベースモデルとし、現在のHRC の前身でもあるRSC が販売していた「スペシャルD キット」と呼ばれるレース用フルキットに加え、スプリント・キットを追加して製作された、通称「RS1000」と呼ばれたタイプである。
フレームは1100R 、ホイールはダイマグ、ロッキードのブレーキシステム等、プライベートという限られた条件の元で、可能な限りのスーピアップが図られている。一つひとつのパーツの全てに、このマシンを製作したプライベートチューナーの拘りが表されており、マシンそのものに対する思い入れも高まってくるものだ。レースを“ 走る実験室" と定義づけたホンダ技術陣は、より高い可能性を求め、OHC2バルブのシリンダーヘッドをハンドメイドで3バルブ化し、さらにはDOHCとしたRCB を完成させている。
CB-Fが、こうした過程から生まれてきたきたファクターをふんだんに盛り込まれたことは事実だ。CB-Fをベースとしたレーサーが、ワークスからプライベーター達にまで広く愛されたのは、やはりベースモデルとしての完成度の高さにあると言えよう。
'60 年代の栄光のGPからの撤退。世界耐久へのチャレンジ、そこには常に量産車に対するレベルアップへの挑戦があった。だが、レーシングビジネスが、現在のように確立して、独立独歩の活動を目的としてスタートている以上、メーカーから送り出されてくる大量生産の量産車に、レーシングテクノロジーがフィードバックされることは稀でもあり、限定されたモデルのみの特権となってしまった。