自動車教習も半分が過ぎようとした頃、鬼教官がこんな事を言ってきました。




『半分が終わったら、お前らを飲みに連れて行ってやる』




どうも駐屯地のすぐ近くに行きつけのスナックがあるらしいのです。




教習の半分が終わると、教官は約束通りスナックに連れて行ってくれました。




一番しごかれていた平瀬は、嫌だと言って来ませんでした。





教官は悲しそうな顔をしていました。





『スナックみかん』は、若くて可愛い女の子がたくさんいて、僕は楽しくて仕方がありませんでした。




教官は十八番のショウケンを歌って上機嫌でした。




普段からは考えられないほど優しくて、とてもいい人でした。




こんなに優しいってことは、もうそこまで怒られないだろう。



僕はこう思いました。





しかし、翌週の月曜日からはまた地獄のしごきがはじまったのでした。




教習がはじまって3か月たち、




鬼教官のしごきに耐え、萎縮してビクビクしながらも





なんとか免許を取ることができました。




大型免許です。とても嬉しかったです。





卒業記念に、近くの健康センターで宴会をしました。





なんか面白い事をやれと言われたので、





一番しごかれていて、殴られすぎて左の腕に大きな青い痣ができた平瀬とコンビを組んで、




即興の漫才を披露しました。




ネタの内容は、自動車教習の鬼教官と学生です。





漫才はウケまくりました。





こうして、無事免許を取得した僕は、




中隊に戻り、また通常勤務がはじまったのでした。





尚、萎縮してビクビクしながら免許を取ったので、





運転は超ヘタクソで、




自衛隊生活合計で5キロ(駐屯地から演習場の往復)





しか運転させてもらえませんでした。





続く




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