*母の記録*

 

2016年3月4日

《術後24日目》

夕方のチームの先生の回診。

息子と一緒に写真を撮ってもらいました。毎日必ず来てくれて忙しい時は手術着のままの日もありました。まだまだ不安でいっぱいですが、先生も看護師も栄養士も本当に優しかった。

担当看護師のMさん。息子は超かわいいと言って自分から写真を一緒に撮ってくださいとお願いしていました。

 

 

 

 

2016年3月5日

《術後25日目》

今日は持参した天むすを3個美味しいと言って食べました。

まだまだ吐くことの方が多いけれど、こんな日が来るなんて本当に夢のようです。

この写真は嬉しくて担任の先生や友人などに退院の報告メールに添付して送りました。

                          

退院後の外来にかかる日の確認のためO先生が来ました。

2週間に1回の受診と1か月に1回A先生の外来にもかかること、ストーマ外来は希望があれば。

緊急時救急車を呼ぶ前に必ず病院に電話して医師の判断をあおぐこと、

ストーマを閉じる条件としては食べられようになって輸液を終えること、全身状態が良くなること。

漢方が顆粒のため飲むのがたいへんなことなど相談すると、大建中湯は一旦ストップしてみようということになりました。

 

 

2016年3月6日

(術後26日目/入院33日目)

退院しました。

本当にハートフルな病院でした。

 

 

*僕の記憶*

 

 

これまで僕はいろんな形で裏切りを受けてきた。それは自分の体から受けた裏切りだったり、自分の運命から受けた裏切りだったり、あるいは期待していた医療からの裏切りであったり。

 

 

裏切りは、そもそも信じなければ起こらないので、だから、僕はなるべく何も信じないように生きていきたいと思っていた。

 

今回の腸の手術だって、どうせ結局また食べれなかった頃に逆戻りするんじゃないかと、内心では思っていた。

事実それまで思うように食べられていなかったから。

 

でもその日母が持ってきた天むすは、

僕の腹の中におさまった。

3つもだ。

めちゃくちゃうまかった。

いやめちゃくちゃうまかったと言うのは言い過ぎかもしれない。なぜならこの時まだ味覚障害が残っていたから。

だけど食べることができた。

1つでも2つでもなく、3つも。

 

ちなみにこの天むすというのは名古屋名物で、海老天が入ったおにぎりのことを言う。ちょっとしょっぱめに味付けされたふきが添えられていて、一緒に食べるとめちゃめちゃうまい。

 

1つ目を平らげたとき、物体が胃の中に落ちていって、そしてやはりごろごろと体を震わせる感覚があった。

ただ、今回はその痛みが耐えられる位いの痛みだったということだ。

 

とにかくうれしい。

今はそれしか言えない。