*母の記録*

 

2016年2月23日

《術後14日目》

今日から、食べた時間と薬を飲んだ時間を記録し、胃に溜まった感じがなくなったら次のものを摂るようにしてみました。

その結果吐く回数が前よりは減ってきました。

食べたあと30分は横にならないこと、もし寝る場合はベッドの背を上げることなど、記録をつけてみると口から入れて胃から落ちた感じがするのに1時間半かかることがわかりました。

 

 

2016年2月24日

《術後15日目》

耳鼻科の味覚外来で鼻からカメラを入れての診察、少し乾燥しているものの異常なし。舌は舌苔がついているのでイソジンでうがいをするように言われました。

回診時先生たちに今日食べたものや味覚について、そして今日はまだ一度も吐いていないことを伝えると、すごく喜んでくれ、息子の話を親身になって聞いてくれます。

毎日チームの先生が2,3人で来てくれて、それが息子も嬉しいと言います。

尿が少なく便が多いことを訊くと、便の量が多いことより尿量が少ないことが問題、吐かなくなれば腸に降りるのでまずはそこの改善、と。

 

2016年2月26日

《術後17日目》

息子が傷口の痛みではない腹痛を訴えると、腸を動かしているからだそう。もう少し口から入れて輸液の量を減らしたいと言われました。

味覚障害と闘いながら、食べられる味をさがしてほんの少し食べてみるのですが、最終的には吐いてしまうのでもう嫌だと言って落ち込む日が続きます。

狭窄ができてもう1年半以上食べていないのだから、あせってはいけないのですが、とても食べられるようになるとは思えませんでした。

 

 

*僕の記憶*

 

 

問題は1つだけじゃない。いくつも複雑に絡み合っている。

 

まず、ご飯が食べられないのは、実際には食べられないと言うよりも食べた後に嘔吐してしまうと言うところが問題。

そして味覚障害もある。

精神的には、こっちのが問題で、食べれるようになっても、やっぱりこの味覚障害とは一生付き合っていかなきゃいけないのかという思いになる。

 

少し何か食べられたらうれしいが、

固形物が腹の奥底に落ちていくと、それが何かの逆鱗に触れたみたいに、腹がゴロゴロゴロゴロと鳴りだして、体を内側からゆする。その揺れが、とてつもなく痛いのだ。

食べると言うことを心待ちにしていたはずなのに、いざ、それをやろうとすると、痛いのだ。

 

僕は焦っていた。

こんなペースで大丈夫なのか。

本当にこれで合っているのか。

あらゆる疑問が頭の中では渦巻いていた。