*母の記録*

 

2015年1月19~20日

<day+222~223>

夕方突然腹痛で何度もモルヒネのフラッシュをしてもらいました。

トイレに座っても便が全く出ない。

痛みに波はあるもののナイフで刺されたような痛みだと夜の看護師がすぐに主治医に電話をかけてくれました。

 

0時40分 

主治医が自宅から駆けつけました。お腹を何度も触ります。お腹が硬くなっていないかの確認です。

 

1時20分

念のため採血とCT検査結果、主治医が心配した腸穿孔の所見はなくただCRPが上がってきているのですぐに抗生剤のファーストシンの点滴が始まりました。

 

9時15分

お腹も柔らかいし穴も開いていない、もう一度画像を見てみると。

 

13時00分

腹膜炎を起こしているのだろう、炎症で小腸が拡張してお腹に水が溜まっている。今後胃が張ってきて吐き気が出るので鼻からチューブを入れたいとのことでした。

 

16時30分

面談室で説明を受けました。消化器の医師とも話をした結果、腹膜炎による麻痺性イレウスで腸の動きが悪くなってきている。

炎症が強すぎて漿膜を超えて腹膜炎になったものに感染も関与しているようだ。

       

今までより病状が一歩進んでしまったようだが、ただ炎症を抑える治療も限界、いつ何が起こってもおかしくない状態になってきています。抗生剤を続けるが今後起こりえることは急激な血圧の低下。

痛みがひどくなればモルヒネを使うしかない。

 

17時30分

喉の違和感が強いためチューブを抜いてほしいと息子が訴えました。吐き気が強くなったら再度チューブを入れる約束で抜いてもらいました。

 

水分も一切禁止となりました。

 

 

                 *僕の記憶* 

 

モルヒネはよくドラマとかでも出てくる医療用麻薬だ。

最初はなんかワルそうなやつに思えていたけど、使ってすぐ大親友になった。

そして「フラッシュ」というのは、薬の早送りのことだ。

効きが悪い時に、体に入れる量を一時的に増やすのだ。

 

モルヒネのポンプは写真の下みたいな「横向き」が多い気がする。ちなみに上のやつは点滴を定量滴下するためのポンプ。

点滴代とポンプは別のユニットになっていて、必要ごとにこうやって積んでいけるの、よく考えたら面白い。同時に大量のポンプをつけまくってる人もいる。

 

 

夜、腹痛の波があって、耐えきれなくなって看護師を呼んだ。

今回のやつはいつもより酷い。

イレウスという現象が起こっていると聞かされた。

鼻からチューブを入れられることになった。

何やらやばい事態らしい。

でもそんなやばいって時に僕が一番気にしていたことは、鼻に管を入れられることだった。

まず入れるときに痛いし、鼻と喉が痛い。呼吸もしずらくなる。異物感がずっと残る。それをやらなければ腹痛は良くならないので、やるということはわかっている。でも僕にとっては、違和感の方が対処しずらいし、厄介なものだった。

死を感じる一方で僕は、身近な不快の方が恐ろしいものに思っていた。